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【製図】合格者たちの上手な勉強法_オガッチさん編

令和2年一級建築士「製図」試験 合格者インタビューにご協力頂いた,オガッチさん( 後半戦参加No.1007,ユープラ参加No.007 )の勉強法は下記の通りです.

■ ユーザープランニングの活用方法まず、大前提としてランク1(合格)の図面は、ミスが少ないということがわかりました。図面だけでなく、面積表や計画の要点等もミスが少ない必要があるという現実を目の当たりにしたことで、各課題に取り組む際にミスをどのように減らすかという目的意識につながったと思います。

実際に自分の手でユーザープランニングの検証を行ったことで、「ミスをしていても受かる」という事実と「ミスの内容によっては一発でランク3やランク4の項目がありそう」ということが実感できました。意思伝達のミスの中にもクリティカルなものとそうでないものが存在するということを意識するようになったことで、制限時間の中でどのチェックを優先させるかという判断をするきっかけになりました。試験ではすべてのミスをなくすのではなく、どのミスからなくすのかという事を限られた時間内で判断できたことが合格できた要因の一つだと思います。

ユーザープランニングを活用した勉強法としては、なるべく多くの図面の減点ポイントをチェックすることをお勧めします。まとまった数の答案の面積表チェックや法規チェックを行うには時間も気力も必要でしたが、採点の疑似体験を通して、ミスに対する厳しい目を養えたと感じています。

■ 過去問題研究講座の活用方法
前半戦(2月~7月の課題発表日まで)>
ウラ指導のエスキス手順に慣れるために、問題用紙の読み取りからチビコマの検討に入るくらいまでの手順に絞って、時間を測りながらエスキス練習を行っていました。試験元の言い回しや文体の雰囲気に慣れるため、課題文の読み取りとアンダーラインの練習もしていました。

後半戦(7月の課題発表日から10月の本試験日まで)>
試験本番で冷静に読み取りを行うためには過去問の文体に慣れることが必要だと考えて、時間を計りながら過去問の音読を繰り返しました。過去問研究講座で手に入るすべての課題文を年度順に音読しましたが、2周目で文体に慣れてきた頃には無理のない速度で読んでも、スムーズに文章をインプットできるようになりました。結果として、読み取り時間が短縮できるようになり、タイムマネジメントの自信につながったと思います。

国語力開発講座の活用方法
前半戦(2月~7月の課題発表日まで)>
ローカの走らせ方やボリュームのさばき方の基本を学ぶのに役立ちました。国語力開発講座の課題を考える際に過去問の標準解答例を確認しながら試行錯誤することで、試験で求められる要求室の種類やサイズ感を理解することができました。

後半戦(7月の課題発表日から10月の本試験日まで)>
令和2年は複数の基本プログラム図が出題されていたので各プログラム図の違いを読み込みながら、課題の特性を理解し、諸条件を整理するのに役に立ったと思います。後半戦は時間に余裕がなく、実際の作図はしませんでしたが、プログラム図が成り立つようにバイコマ程度で建物の骨格を把握するようにしていました。

■ 通信添削課題の活用方法
前半戦(2月~7月の課題発表日まで)>
ウラ指導のエスキス手順を練習するために、通信添削課題を繰り返し解いてエスキス手順の練習していました。前半戦は時間がオーバーしていても、手順を変えずに、各手順で手が止まらないようにする練習を優先させて各課題に取り組みました。同時に、各手順の意味を勉強仲間とディスカッションしながら、エスキスで何を検討手順の内容の理解を深めていきました。

後半戦(7月の課題発表日から10月の本試験日まで)>
課題発表後の後半戦では建物用途を意識して解くことで、本番で考えられる出題形式を想定しながら対策を行いました。
前半戦では制限時間内での答案完成ができていなかったので、8月中旬からエスキス手順を自分なりに最適化していくことを考え始めました。最適化には2つの目的があります。ひとつは効果的なタイムマネジメントを行えるように、エスキスの各手順において問題文とエスキス用紙をどのように活用していくかを考案することです。もう一つはクリティカルなミスを減らすために読み取り、エスキス、作図の中で自分の間違えやすいポイントの見直しを行えるプロセスを決める作業です。特に後半戦では本番の試験を意識していくことになりますが、練習課題がうまく解けたかどうかよりも大切なことがいくつもあります。例えば、添削図面のランクに関わらず、自分はどのように問題を解いたかを確認し、ミスがあればその原因を探ることはとても重要なことです。エスキスのプロセスとミスの原因を考察するには、勉強仲間とエスキス用紙や答案用紙を見せ合って質問し合うのが効率的な勉強法だったと思います。学校等でクラスメートがいれば、その人達とエスキス用紙等を見せ合いながら自分のプロセスを最適化するのがおススメです。最近ではTwitterをはじめとするSNSで勉強仲間を見つけることもできるので、数人の勉強仲間を探して定期的にディスカッションするのも良いと思います。

■ 本番での心構え
本番では適度な緊張感を持って、いつもと同じ手順を行うために、自分に合った準備を行うことが大切です。試験では練習時とは違った焦りや欲が出やすいので、いつもと同じルーティンを意識的に取り入れて準備をしたうえで試験に向き合うことを心掛けました。これをやれば万人に効くという魔法のルーティンはないと思うので、各々が自分の心地よい気持ちのつくりかたを決めておくとよいでしょう。また、試験中に不測の事態が起きた時を想定して、日頃から練習課題に取り組むことが重要だと思います。そういう心持ちで事前に練習しておくことが本番の落ち着きにつながるはずです。

■ 後進の受験者の皆さまへのアドバイス
製図試験に万能なエスキス手法はないと思います。どの手法にも長所があり、短所があります。重要なのは、それらを理解して使うことだと信じて一年間勉強してきたことが、結果としてエスキスに自信をもてるようになっていったと感じています。

手順を忠実に守るだけでなく、エスキスの各手順で自分が「何」の検討を行っているのかを理解していれば、どのような課題文に出会っても落ち着いてエスキスの検討に取り組めるはずです。正確に手順を覚えるだけでは、新出問題などで出題者に揺さぶられたときにパニックに陥り、手順が守れなくなるか、時間が足りなくなるかという状況に追いやられます。エスキス手順にはある課題では検討すべき内容でも、別の課題では検討が不要という場合もあります。それらを判断できないまま、手順だけを闇雲になぞっていくのはあまり効果がありません。

一定数の合格者を選定する設計製図の試験において、いくつものハードルを越えて行くために必要なのは、自分の癖や弱点をきちんと認識することだと思います。どんな人でもミスはします。そのミスが自分の思考の癖に起因するものであれば、それを防止する策を具体的に講じる必要があります。マーキングの色や、チェックリストの作り方など先輩方が教えてくれるミス防止策は参考になりますが、それらを取り入れる時にも自分にとって必要で、使いやすい対策法について試行錯誤しながら、自分自身の弱点を理解することが重要です。

もう一つ、「情報を判断する」能力を磨くことが試験のハードルを乗り越えて行くのに必要だと思います。最近の情報過多な出題者の意図を鑑みると、自ら能動的に情報を取りに行き、不要なものを判断し、選択していく能力が求められている気がしています。これは「課題文の読み取り」という狭い意味での取捨選択だけを意味するものではありません。むしろ、試験元の発表内容や精鋭の先生方が発信する課題解説からYoutube等で得られる情報に至るまで、さまざまな情報を多次元的に重ねたうえで、試験対策として必要な部分を判断していける能力という意味です。近年では、Twitterやブログなどを使って、広大な情報源に簡単にアクセスできます。また、実際には会ったことがない人とメッセージのやり取りしたり、Zoomなどを利用して一緒に勉強することもできます。学校に通って勉強するにしろ、独学で勉強するにしろ、この文章を読んでいる皆さんが情報を積極的に判断する能力を伸ばし、合格をされることを願っています。

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