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【製図】合格者たちの上手な勉強法_マッシーさん編

令和2年一級建築士「製図」試験 合格者インタビューにご協力頂いた,マッシーさん( 後半戦参加No.1012,ユープラ参加No.012)の勉強法は下記の通りです.

■ ユーザープランニングの活用方法<どのような検証を行ったか>
自分の勉強を進める判断基準として、「ゴール(こうなりたい、これができるようになりたい)を見据えて目標から逆算して勉強法を考える」と「よくわからないけど、やる価値があるって先生が言っているからやってみる」の大体2パターンで始めていました。

ユーザープランニングの検証はよくわからないけど荘司さんが「合格者はみんなやってきた」の言葉でスタートしています。目標を「採点者側の気持ちを知りたい」にして、合格者の方が検証項目をまとめてシートを作成してくださったものをやりました。

自分でもすごく申し訳なく思うのですが、合格答案とはいえミスがいくつもあります。再現も頑張りましたが少しも間違わず再現できている保証もできません。そしてミスのないランク1の方はほぼいらっしゃらないのではないかと思います。4割くらいの合格者を出すために、出題者のこうしてほしいを採点の基準とできなかったのではというお話も先生から伺っていたのでランク1の図面で「これが正しい」とか細かい詳細分析は意味がないのではと始めたころに思いました。法規はやはりできていて、ゾーニング・動線も方向性は同じような感じでしたので参考になる点は多いと思います。すごく細かくまで見すぎないというイメージです。そこで詳細をよく分析するのではなく、合格図面の感覚をみにつけたいと思いました。(仕事とかでも同じ業務をしているといつもと違うときになんとなく無意識にはっと気づけるような、ランク1と他のランクの違い?みたいなのを知りたかったので。)

あと時間が空くと感覚はつかめないと思い、他の勉強を全部ストップして一週間くらい続けてずっと検証だけやりました。とにかく図面の確認は時間がかかり、全然終わりがみえず、つらい+終わらないしか言葉がでないくらい大変な時間でした。今でも大変だったとしか言えない感想ですが、自分の目標は詳細を分析するではなく感覚的なものをつかむ、でしたので連続して見続けることに意味があったと自分では思います。

<学習の中でどう活用したか、本試験でどのように役立ったか>
他の方の図面を見るのがとにかく大変だった、これが正直な気持ちです。面積表の抑え方もそれぞれ方法が違っていたり、とにかく時間がかかりました。採点者の方は慣れているので素人の自分とはもちろん違うのは承知の上ですが、とにかく「採点者の方に分かりやすい図面にしよう」とすごく思いました。加点方式じゃないから6時間半で終わらせるには過剰な表現はいらない、少しでもミスなくシンプルにわかりやすいようにできる限りしたいと思いました。

すごく勝手な気の持ちようだと思いますが、線をひくのも「自分なりに頑張って意図をくみ取ってみました、考えを伝えたいです!」精神で描いていました(笑)自分はフリーハンドがメインだったのもあるのですが、CADと違い手書きのものは気持ちや性格も表れるような気がしていましたので意識しました。今まで考えもしませんでしたが、受験者も大変なのですが、採点する側も大変なのだなと思いました。

<参加して良かったと思うこと>
合格するにはエスキスと国語力(80点を超えるようなプラン)の合わせ技と思っていた自分にとっては、時間内に終わらせるにはパーフェクトではなく60点くらいのプランを目指す、というところにハードルを下げることに役立ちました。

法規はきちんとやる、言われていることはこなすけど無理しすぎない、というような感覚が勉強になりました。その他にはランク1の方はここがミスかもしれないけど、これを直すとなるとここに影響する…しかたなくこうしたのかな、と思うような感覚もありました。(ごめんなさいポイント?はこういうことかなと思いました。)自分も落ちたときは言えることですが、少し勉強不足だよねと感じるミスや、あきらかにこうしたらよくないよね、とミスの感覚の違いもあるような気がして勉強になりました。詳細を抑えるのではなく合格の大枠の感覚が覚えられたように思います。検証は目的も方法もたくさんあると思いますが何をやるにも時間がかかるので、前半のうちに終わらせるのが良いかなと思います。

■ 過去問題研究講座の活用方法
<どのように活用したか>
「過去問はガチでとかない」石黒先生の言葉が気になっていました。施設の大枠を勉強しているからその建物の空間構成や動線がなんとなく判断がつくので、勉強したことがある施設用途の類似問題はできる可能性があると思いますが、解きたくてもひっかかることが多く確かにその通りだと思いました。いろいろな勉強法がありますが自分の理解<どのようなことを意識して取り組んだか>ろ!」ができるようになりたかったので。)1.主文・留意事項・計画の要点・敷地図から空間構成の情報をピックアップする
前年度の塾でも行っていた方法ですが少しカスタマイズして、4項目から落としどころの4要素をピックアップ、敷地図をみて人の流れを考えるのを行いました。敷地図からの人の流れは他の方のものを参考にさせてもらったり、勉強になりました。

ここ最近は要求室のところに空間構成に関わる要素もあるとの意見もありました。確かにそうだと思います。ただ、ゴールを目指すスタートラインで目標を決めるのを一気にやるのではなく、4項目からなんとなく大枠(熱量)を知る→そこからいろんなとこから熱量をピックアップしてゴールまでの道の方向を徐々に決めていくのもいいのかなと思います。なんとなく、こういうところは考えてね、というクライアントオーダーをざっくり知るようなイメージでした。言われたことはやるは大前提なのですが、今回の本試験を受験して一番感じたのが自分で考えるということだったので、これからは大枠から詳細への判断+自分で施設用途を勉強したことを表現する、ということが重要になりそうだと思いました。

過去問の項目(設計条件、敷地及び周辺条件など)ごとにデータを切り取ってまとめた縦読み資料をつくり、項目ごとに分析してみました。木田先生から「主文だから必ず空間構成に関わることが書いてあるとは限らない、熱量は課題文によってかわる」とアドバイスをいただいたことがあります。自分で色を決めて(空間構成に関わること→赤、など)マーキングして、結果をエクセルにまとめて状況を一覧にしました。項目ごとに一覧表でみてみると、主文で例えると空間構成に関わることはH28以降にでてきたり、H30は敷地条件の情報が多かったり、空間構成の4要素だけではなく、なんとなく他の項目でも出題者意図(熱量)のとらえ方の練習になったかもしれません。

<本試験でどのように役立ったか>
縦読み資料でそのカテゴリーを見比べることで、言葉尻が変わっていることが気づくことができ、部分把握での発見も多くありました。エスキスの手順確認と同じく、部分把握することでそこにどんなことが書かれているエリアなのかも改めて意識できました。読み落としでミスを見つけた時は血の気が引くことももちろんありますが、落ち着いて読んでみると課題文は難しいことばかりが書かれているのではないのかな、とも思いました。読み取りは自分なりのカスタマイズがたくさんありますが、最初の5分読み(自分は10分位かけてしまいますが…)での情報ピックアップ能力はついたように思います。

■ 国語力開発講座の活用方法
シンプルなボリュームのさばき方の基本(今まではプールや多目的展示室など大空間をさばくことが多く、高齢者介護施設は中規模や小規模のボリュームが多く感覚が違いましたので)をつかむイメージで必ずやりました。

<本試験でどのようなことが役立ったか>
国語力のシンプルプランを本試験でやらない(時間内に終わらなくなるので)ことのさじ加減が自分にとっては難しかったのですが、コアをまず置いてみてボリュームをさばいていく感覚はコマプランの工程から役立つと思います。本試験は1から考えるものじゃない、石黒先生からいただいたアドバイスです。意外にもコアの置き方の基本パターンを数個知れば、どんな課題でもそこからまずスタート→調整していく、で対応できるように思います。(課題条件の整理で翻弄されて、それどころじゃない時もたくさんありましたが(笑))時間制限があるので1から考えず、ここにコアがあるとき、廊下がこちら側にあるときにどういうボリュームがざっくりとれるのか、コアとボリュームのさばき方のメリット・デメリットの経験値があるからこそ、まずこれからスタートしてみよう、と一つの指標になると思います。成功したさばき方だけではなく、失敗やこのパターンだと難しかったな、ということを知っていると先読みができる力もつくと思いました。

<自分なりの勉強方法>
・基本のプログラム図があると思いますが、部屋のボリュームの指標がないと進めにくいので似たような過去問のボリュームの数値を参考として考えてみるやり方をまずやってみました。
・最初はとにかく教科書にあるようなすっきりしたパターンのコアや廊下の感覚を見つけるため手を動かしてみてつかむ→コアを置く位置を変えてみて、その時にどういう違いがあるのか感覚をつかむ→短辺入り(プランニングの難易度があがるパターン)などのコア・ボリュームを体験してみる。このようにまずは大道のシンプル・きれいなプランニングを見つけてから変化させると取り入れやすかったように思います。
・課題条件によっては難しい短辺入りになるプランや、国語力で学んだシンプルなさばき方にならないと思います。ただ、メリット・デメリットなんとなくでも体験していれば、選択枝がある中で時間内に終わらせるには難しい方を選ばないですみますし、難しいけどやらなきゃならないときに気持ちの覚悟ができると闇雲に進むよりもゴールにたどり着ける確率があがると思います。

■ 通信添削課題の活用方法
前半戦 どのようなことを意識して取り組んだか>
石黒先生のエスキス解説動画のポイントを文字に起こす→それを見ながら何回も動画を確認してその工程で何を抑えるのか、基本の再確認をしました。基本をみなおして自分の手順を言葉にしてアウトプットし、製図試験のウラ指導の本の流れと違いがないか確認しました。
言葉にして書き出す作業は自分の状況を的確に伝えるために、2年目の時から先生に質問するためにも行っていました。時間が経つと忘れてしまうので、課題文やエスキスのデータにメモがとれるよう欄をつくってみて、その時に思ったこと・悩んだことを同じ流れにそって書いてみるだけでもアウトプットのひとつになり、そこから自分の苦手ポイントの発見や、質問するときにこの時にこう思ってできなかった、ということを見える化することで状況を伝えられるような気がします。

後半戦 どのように活用したか>
石黒先生とイチケンさんに、私はとにかくエスキス時間を2時間半で抑えるようアドバイスをいただきました。時間管理が大切と先生や合格者の方のアドバイスでも見たことがあったものの、今までは3時間以内に終わるようにくらいで認識が甘かったので反省でした。

前半戦の後半くらいからエクセルで自分がどの工程でどれくらい時間がかかっているのか2時間半から逆算した各工程の目標時間を把握し、後半は記録しつつ時間内に納めるにはどうしたらいいかの対策を考えました。時間内に終わらせるためにも、エスキスの時短も考えました。手順を省いてしまうとどうしても前半部分での検討が弱くなるので、書き出す場所をまとめる等、作業時間が短縮できるものがないかくらいしかできませんでした…。
2時間半の集中力をキープするための勉強と、記憶するための短い時間を繰り返す勉強を意識してわけていました。
一週間のうちざっくりですが、下記のイメージです。(できないときももちろんあります。)
・6時間半の実践(タイムアタックがメインでした。1日時間がとれる日があればもう一度行う時もありました。)
・2時間半の実践(エスキスか作図を通しでやる。やらないとどうしても感覚が落ちてしまうので…。)
・短い時間を繰り返す勉強(記述の写経、設備を覚える、法規練習、断面図だけ20分以内に描いてみる、自分の失
敗の対策、石黒先生アドバイスのコア周りだけ描いてみる等の短い時間でできる作業です。)
・他の方の図面添削(荘司さんからやったほうがいいよとアドバイスいただきました。時間がかかりましたが、できる限りがんばりました!)

■ 本番での心構え
本番でユニット型との言葉を見て、プランニングしたことがなく解けるのかなと正直思いました。石黒先生の名言「考えるな、感じろ」が「考えられない(ユニット型のルールってなんだろう←ただ単に勉強不足です。)、感じるしかない」に変わりました(笑)でも、だからこそその感覚が分かったような気がします。

後半戦一発逆転模試の後、石黒先生から「この試験は時間内に終わらせるために、自分で納得して決断する。納得しないと進まない。この試験は決断すること。」とアドバイスいただきました。エスキスを進める中でどうしよう、と判断に迷うこともありました。ただ、それをどうにか決めて間違っているかもしれないけど進めることで、もやもやした気持ちを引きずらないで次の工程は頭がクリア寄りな状態ですすめることができました。本試験の最後の日に奇跡的にこの感覚が初めてわかったので、できればもっと前にこの感覚を経験できることをおすすめします。わからないことを5分でも悩んで思いつくなら考えるのですが、やったことないことは時間をかけても無理と意識できたのも大きかったと思います。時には諦めることも必要なのかもしれません。

今まで学んだことから今の自分にできることを背伸びせず最大限にやる、エスキスも流れ通りに決断して進めることにより本番は今まで先生からの言葉が全てこういうことか、と分かったように思います。

普段の細かい時間管理とは別に、試験中は細かく時間のずれが確認できる自信がなくいくつかの工程をまとめた時間を試験用の時間管理指標にしていました。今自分が目標から遅れているのか、余裕があるのか、冷静に判断できたのも重要だと思います。

合格できたのには、その時に選んだ判断がいい方だったという運もあると思います。運と言ってしまうとじゃあどうすれば?と思うと思いますが、日々の失敗したことのリカバリーした経験が「いい判断(60点くらいの合格プラン)できる運」をあげる方法に思いました。

後半戦一発逆転模試の出来が一番悪く、本試験の会場に行く権利もないかもと思いました。その時にいろいろなものに手をださずに、今やったミスを本番ではしないようにせめて頑張ろうと思い、石黒先生のお話は何十回も音声をきいて、先生方にいただいたアドバイスでミスのリカバリーを考えました。本試験では今までの自分で起こした失敗の経験が、自分を助けてれくれました。

最初に課題文を読んだ時に、これはなんだろうと思ったことや、今までになかったような表現は紫マーカーをつけるルールで行っていました。その時に今までの試験よりもより「自分で考えて提案してね」を感じたのが本試験でした。勉強法も自分なりにカスタイマイズして工夫や、新しいことを考えることは好きなのであまり負担を感じなかったのですが、「答えを当てる試験から答えを作り出す試験」と先生がおっしゃっていたことは本当にそうなってきているのだな、と実感しました。パーフェクトな判断は試験中にはできないこともたくさんあります。自分もできませんでした。勇気をだして諦める判断も必要かもしれません。今後は本番対応力がより大切だと思います。
勉強不足で情けないなと思いつつ、自分の中で究極に判断がつかないときは「とりあえずあればいい」です(笑)動線の確認もかっこいい判断基準もなく、おじいちゃんおばあちゃんがわかりやすく使える、子供たちでもわかりやすいか、が判断基準です。

■ 後進の受験者の皆さまへのアドバイス
今だからこそより強く思うことは、この試験は得意を伸ばすことではなく、自分のウィークポイントをいかに平均値までもってくるかが重要に思いました。エスキスもプランも、性格が本当にでるものなので自分と向き合うのがこんなにも大変だと思いませんでした。自分はダメだなと思うことばかりでした。「試験を難しくしているのは自分自身だよ。」先生と話していて本当にそうだと思います。

外出が難しい状況が少し続いてしまうかもしれませんが、ウラ指導の通信で学ぶのも、資格学校で学ぶのも、独学でも、自分にあうところで勉強できることが一番だと思います。そして自分の失敗にいかに向き合えるかも重要だと思います。

最後に、常に応援し続けてくださった荘司さん(出題者の熱量はわからなくても、荘司さんの熱量はわかるようになりました。)、先生たちみたいに判断できるようになりたいとずっと目標だった石黒先生・木田先生、角落ちしないように心配してくださっていたイチケンさん、つらいときいつも助けてくれたカメさん、建築常識をわかりやすく教えてくれたミッツさん、去年と今年の塾生のみなさま、youtubeやブログで解説してくださった合格者のみなさま、感謝しきれないほどいろいろ学ばせていただきました。試験勉強を通り越して人となりまで学んだ受験生活でした(笑)

私のお伝えしたこともあくまで1つのやり方にすぎません。合う・合わないももちろんあると思います。もしご自身の勉強に少しでもお役にたてたらうれしいです。大変な試験ですが、少しでも楽しく勉強でき、みなさまの合格を心より願います。読んでいただきありがとうございました!

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