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【製図】合格者たちの上手な勉強法_前田さん編

令和3年一級建築士「製図」試験 合格者インタビューにご協力頂いた,前田さん( 後半戦受講生 参加No.2011,ユープラ参加No.010)の勉強法は下記の通りです.

■ 過去問題研究講座の活用方法
過去問に取り組める時間が限られていると考えていたため、本試験課題と類似の課題が出されていたかどうかを確認しピックアップしたものを中心に学習を進めていきました。その中でも前半戦同様に課題ごとの空間構成がどのようになっているか、課題特有の言い回しはどんなものがあるのか、そしてどのように表現されているのかをチェックしておくようにしました。

これらをやっておくことで課題などを解く際に、過去に出題があった問われ方なのかそうでないのかの判断材料として役立てることが出来たと思います。過去に出てきていたものであればどんな風に対処をしていたかを事前に学習しておくことで、自身の中に手札としてストックが出来るので、気持ちが楽になりました。逆に本試験では過去に出ていないと判断したものは新問題の可能性があると判断できたので、これは他の受験生もわからないはず、ならばどう対処するのがいいのかという思考を持つことが出来ました。
過去問研究をやってみて「過去問=ストーリー」だと3年目になりより強く感じました。その年のだけで完結できるものはなく過去を知って、その年の試験に臨むことが本当に大事だと痛感しました。

■ 国語力開発講座の活用方法
集合住宅というざっくりとした課題に対して、どのように国語力をすればいいか全く分からずで後半戦についてはほとんど国語力を出来なかったのが事実です。ただ、やるべきことは変わらないことを先生方から指導頂き、「廊下を走らせてボリュームを捌く」というこのイメージだけは変えないことを常に意識して取り組みました。
このボリュームを捌くということを繰り返す内に、いかに自身が細かい部分にこだわりプランニングをしていて、破綻させているのかに気付けました。

■ 通信添削課題の活用方法
これまで準備してきたもの(エスキス・作図手順・記述の知識など)を実践するために、課題ごとに本試験同様の時間でタイムアタックを毎課題ごとに実践しました。課題は絶対に解きっぱなしにせず、受講生どうしでディスカッションを行い、各々の思考のアウトプットをして整理をして次課題に活かすようにしました。私にとってはこのディスカッションが本当に有意義だったと感じました。自分が気付いていないミスや癖を指摘してもらったり、他の受講生の思考を聞くことで、新たな発見があり自分の中に取り込んでみたりなど試行錯誤することが出来ました。

課題については3回解くことを先生方から指導を受けていました。1回目は上記のように初見でタイムアタックする、2回目はディスカッション後に時間をかけてOKだから思考の整理をしながら納得のいくように解いてみる、3回
目は1回目2回目を経た上で再度タイムアタックする。私は2、3回目はエスキスまでしか出来ませんでしたが、次課題を解くまでにやることで少しずつ課題に対する向き合い方が身についたと思います。

ちなみにですが、私は3年目の後半戦課題では模試以外の5課題中の4課題は初回のタイムアタックではエスキスがまとまらず未完成となりました。課題を解くたびに心が打ち砕かれ、エスキスの途中で30分くらい嫌になって投げ出したこともありました。ですが、これはあくまで練習ということと(本試験に1回勝てばそれでOK!)この未完成となった原因やミスをしてしまったことを探り、改善策を練っていくことの大事さが後半戦課題にはあると思います。

■ 本番での心構え
本試験では練習時とは違う独特の空気感があります。その空気感に飲み込まれずに練習時同様の心持ちで臨めるように準備しておくことが3年目は特に大事だと感じました。後半戦の課題を解く際は常に本試験と同様の想定で解くこと(開始時間の設定やトイレ休憩を入れるタイミングなど)で少しでも本試験時にパニックにならないようにしました。

それでも本試験では想定外のことが起きたり、特に3年目は角番なので後がないことからの緊張感があります。ただ、その時の対処法も準備しておくことで柔げることができると思います。私の場合は、2年目の時もそうでしたが本試験開始前はなるべく早く会場入りして、セッティングを完了させ、自分のお気に入りの断面図を持参してそれをトレースしました。これは先生方のアドバイスや過去の合格者の方の方法を取り込みました。

これをやってみると手が震えてなかなか書けずいかに自分が緊張しているかが分かるのですが、書き進めると慣れてきて少しずつ緊張も和らぎます。それと同時にお気に入りのポッドキャストを聴きながらやることで普段のモチベーションに近づけるようにしました。(お笑いのポッドキャストだったの断面図書きながら終始ニヤけていたと思います笑)

本試験前、先生に「課題文に対する初見アレルギーがひどい、課題分に挨拶してラフに臨みましょう」とアドバイス頂きました。この言葉がなければ本試験に対する向き合い方と結果は変わっていたかもしれません。集合住宅というざっくりとした課題の中でどんなものが出るのか分からない怖さと一昨年のユニット型が出た時の衝撃(単純に勉強不足ですが)があり、練習課題ではいつも身構えてしまってました。幾度となく聞いてきた課題文は敵ではなく味方であるということが本試験直前のこの先生の言葉で初めて理解出来たと思います。

■ 後進の受験者の皆さまへのアドバイス
製図試験を3回経験して大切だなと感じたことは、4つです。
1つ目は、「何を取り組むにしても常に目的を見失わないこと」です。一級建築士試験に合格するということは大前提の目的で1つのゴールです。そのゴールをするためには何をすべきなのかを見据え、勉強を進めるのですがその今やっている勉強が「何のために」やっているかを意識することが大事だと思います。

私の場合3年目は特に作図に対して細かいタイムマネジメント検証と自分の弱点補強を徹底して繰り返し練習しました。よく何枚書かないといけないとか、これだけ枚数を書いたのに、など聞いたことがあると思います。これらも「何のために」書くのかが明確であれば良いと思いますがただ枚数書くだけでは時間がもったいないだけだと私は思っていました。書くための目的をハッキリさせてやることは、荘司先生の仰る最短ルートということがここにも当てはまるのではないかと感じました。

2つ目は、「手段と情報の取捨選択を明確にすること」です。これは1つ目にも通ずることだと思いますが、今では大手の資格学校などに加えてSNSなどからの情報がたくさん入手することが出来ます。私自身もTwitterなどで情報を集めたりしていましたがあまりにも膨大で整理に追いつかないことがほとんどでした。また、こういった情報が多くあることである意味正解探しみたいなことになり製図試験の本質を見失ってしまいます。本当に今その手段や情報や手段が必要なのか、適正なのかを見定めていくことを忘れないように意識しておくことの大切さをこの3年目では感じました。取捨選択する上で大事なこととして1つ、その手段や情報を鵜呑みにしてしまわないこと、分かったつもりにならないことです。私自身がそうだったのですが、これだ!と得たものをいざやってみると全く出来なかったり、「え?これ意味のないものでは?」と思ったりしました。そうではなく単純に私がキチンと理解をして会得出来ていなかったり、意外と自分には必要なかったりといったものでした。ですので、そういった意味でも1つ目に挙げた目的を見失わないことの大事さをここでも知ることが出来ました。

3つ目は「作図を自分のものにしておくこと」です。製図試験の答案は図面と記述を提出しますが、これらがその年の受験の全てになってきます。いくらエスキスが完璧に出来たとしても作図が完成できなかったり、ミスが多くては出来が良くても落ちるリスクが高まります。なので私は本試験で作図が手が止まることなく難なく出来るレベルに持っていけるようにウェイトを高めて練習をしました。実際にやってきて良かったこととしては、手が止まらないように作図が出来て、チェックも含めた時間が安定してくると逆にエスキスや記述への時間の読みが出来るようになり結果的に自分の気持ち的な余裕ができます。これはあくまでも私が感じていることですが、資格学校などで提示されるような枚数は全く意識しなくて問題ないと思っています。作図に関しては人により作図出来る環境やペース、作図に関する弱点は全く違い、無理にそこを目的にするのは無意味だと感じたからです。なので、目的をきちんと持って取り組んで、自分のものに出来ればそれで十分だということが大切だと3年目になりようやく気付けました。とはいえ、継続して書くことは大事なので受講生どうしで毎週2回ほどzoomで繋がって、作図のタイムアタックなどをしました。仲間とやることで作図に対する億劫さをなくしモチベーション維持に効果的だったので、同志を集ってやるのもオススメします。

4つ目は、「他の人と比較しない、自分に自信を持つということ」です。この試験は他の誰でもない自分のためにやるもの(これは本当に強く心に刻んでいました)です。他人と比較しても始まりません。自分の弱点を徹底的に潰して、自信につなげていくことが大切だと思います。本試験を迎えるまでにたくさんの課題をこなしていくわけですが、その中でどうしても自分の不出来さに凹んだり、他の人と比べてしまってより一層その不出来さに凹むということが嫌というほどありました。前の文章にも書きましたが私は後半戦課題では5課題4課題未完成でした。ただその度に凹んだままにするのではなく何がダメだったのか、足りていないのか、弱点は何なのかを徹底して検証していくようにしました。また、出来ていないことばかりを探していくのではなく些細なことでもいいので出来たことを探していくようにもして、少しでも前に進んでいることを実感して自信に繋げることが出来ました。

製図試験が3年目を迎えるなんて1年目の時は思ってもみませんでした。実際3年目なんてものはあっという間にきてしまい尋常じゃない焦りや、プレッシャーがあります。ですが、逆に言えば1年目、2年目を経験していることは初
年度生よりは圧倒的有利で、それに奢ることなく上記に挙げたような項目を徹底してやれば大丈夫と常々言い聞かせました。私は過去に受験勉強というものをまともに経験したことがなくこの試験で初めてといっても過言ではないくらいでした。それでも今があるのは先生方や過去の合格者方の支援や、常に自分と向き合って取り組めた結果だと自負できます。
長くなりましたが、これを読んで頂き少しでも皆様のお役立てになれば光栄です。

どうかこれから受験される皆様が自分自身に向き合って、この試験に合格されることを心より願っております。
以上


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