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【日本建築史】農家の平面形式

前回からの続きです.

農家の平面形式の知識については,平成11年,21年に一級建築士「学科」試験問題として出題されています.

【問題】
四間取は,土間を除く床上部分を田の字型に4室構成とする,伝統的な農家の平面形式の一つである.

【解説】
問題文の記述通り.農家は近世にはいると,地域が活性化している村では,住宅の規模が増大し,30坪を超えるものも珍しくなくなっていった.そういった地域では,土間に続く板の間を広い一室とし,その奥を二室に分ける平面がみられるようになり,これを広間型(図左)という.その広間がさらに2つに分かれ,四間取(四間型/田の字型)の平面も登場するようになった.この四間取は普段は,襖などの建具で仕切って使用し,必要となれば,全ての建具を取り払って,大空間を生み出すことも出来るため,日本の農家に最も広くみられる平面形式となった.

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四間取(田の字型)の立体的な空間構成については↓のブログのイラストがわかりやすいです.

【解答】〇

【問題】
伝統的な農家の間取りにおいて広く用いられた四つ間型は,4室程度の部屋を廊下で結んだ形式である.

【解説】
伝統的な農家の間取りにおいて広く用いられた四つ間型は,農作業や炊事に用いる土間や牛馬を飼育する馬屋を室内に設けており,それに続く板の間部分には,4室程度の部屋相互の連絡に廊下を用いず,連続する田の字型の配置となっている.

【解答】×

日本では,「広間型」,「四間取り(他の字型)」,「南部曲がり家」,「中門造り」などといった形で,その地域特有の平面形式が形成されていました.中でも,白川郷・五箇山の合掌造りの集落はその美しさが今でも多くの人々の心を魅了し,世界遺産にも登録されています.この知識は,平成10年の一級建築士「学科」試験問題に出題されました.

【問題】
1995年に世界遺産に登録された白川郷・五箇山(ごかやま)の合掌造りの集落においては,周辺の耕地や山林を含めた範囲を指定することにより,全体としての環境保存が図られている.

【解説】
白川郷(岐阜県)や五箇山(富山)の合掌造りの集落は,この地方独特の民家の形式である「合掌造り」家屋を中心とした山村であり,1995年に世界遺産に登録されている.いずれも集落の歴史的景観とその周囲の自然環境が良好に保存されていて,日本を代表する歴史的遺産として高く評価されている.

続く

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