見出し画像

パーキンソン病と生きる:娘にタコ踊りと言っちゃう母

「あなた、身体がクネクネしていて、まるでタコ踊りみたいね。そんなんで爪が切れるの?」

ある日、実家に帰って家で爪を切ろうとしていたら、突然、母に言われた。
「タコ踊りって・・・」
さすがに娘でも、遠慮ってもんがあるだろうが!

私は黙って爪を切り続ける。

確かに、その時はジスキネジアが出始めて、気持ちを集中すればするほど、指先が思うように動かない時間帯だった。まぁ、爪切りに適した状況かどうかは、判断に迷うところではある。

マドパーが切れてくると途端に、プールから上がった時の身体のように重力を感じ始める。これがウェアリングオフ状態。「ハネムーン期」の終わりを告げる兆候。オンとオフの差が大きくなると、精神的にもだんだん病んでくる。今まで自分の気力で何とかなっていたものが、何ともならなくなる。
でも、最初は「オン・オフ」すら認めない。

それに対して、マドパーが効いてきて血中濃度が高くなると、不随意運動が出る。これがジスキネジア。緊張した時も出る。これがまたつらい。というか、かなり厄介。身体が勝手に動いている状態が、本人は一番楽なんだから、健康な人には理解不能だろう。

病気になってこの方、リラックスという状態を満喫したことがない。心がリラックスすると身体が勝手に動き出す。
もう、リラックス状態という状態を忘れてしまった気がする。

こんな、解かっちゃいるけど、自分の中でおりあいがつかないで来た症状。

これを「タコ踊り」という母。
しかし、言われていれば、世間の人は口に出さないだけで、こう思っているんだろうなあ、と再確認した。

決して他人からは聞けない言葉。
超天然の母だから言える言葉。
ありがたい・・・かな?

何時までも隠し通せると勘違いしていた。自分。

「そんなの無理無理、どう見たってタコ踊りなんだから」という母。
親とはこんなものなのだろうか。
ここに、「肯定ファースト」は、どう存在しているのだろうか。

あまり考えすぎない方がいいこともある。
ということは学んだが、
このスキルを使うのは、かなり難しそうである。

だって、「クネクネシテ。タコ踊りみたい」って言われたら、
ショックで、プチ家出したくなりますよ!

わたしは黙って背中を向けて爪を切り続けていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?