【ディープ過ぎる福祉の世界で生きる男たち】
息を吸って、吐く。呼吸はできるが動かない者。
叫び、暴れる。言葉というコミュニケーションができない者。
自分は正常で、世界中の全てが異常。社会システムの中で生きられない者。
そんな様々な人々がこの地球上には74億人いるらしい。
ただ、生きて死んでいく同じ命だが、「ショウガイシャ」と「ケンジョウシャ」というジャンルでほとんどのことが分けられ、語られる。
これを読んでいるあなたはどちらですかね?
俺は嫌だよ。勝手に他人にジャンルを決められて生きていくなんてまっぴらごめんだ。
今から30年前、僕は7歳。アメリカのサンフランシスコの公立学校へ通っていたんだ。アメリカの白人と黒人はいつも喧嘩していて、さらにメキシカンやスパニッシュやフィリピーノ、チャイニーズやコリアンにジャパニーズがぐっちゃぐちゃになりながら暮らしていた。人種差別なんてものは毎日のようにあったし、俺も全ての人種に対して差別的な発言をしていた。けど別に恨んでなんかいない。互いに挨拶がわりに差別し合っていた。「日本人」というジャンルに当てはめてくるやつに全力で反発していた。
俺には俺のカルチャーがあるんだよ!3歳からアメリカで暮らしてて日本のことなんて全く分からないんだよ!いきなりパールハーバーについて怒りとかぶつけられてもわかんねーよ!!そんな毎日だった。
ところが日本に帰ってくるとどうだろうか。今度は「アメリカからきた文化の違うやつ」として扱われた。ヒップホップなど音楽の話は通じず、キャプテン翼とガンダムについて詳しくなければいけなかったらしい。知るかよ!見たこともねーよ!
なぜだ。なぜなんだ!
ただ国や文化が違う場所で生まれたり育ったりしただけだっていうのに。そもそも人類っていう共通項以外に同じやつなんて一人たりともいないんだからさ、ジャンルに当てはめたってしょうがないんだよ!
そんな小中学校時代を過ごした僕はまー紆余曲折あって、福祉業界に勤めることになった。
色んな施設や事業所で働いたけど、どハマったのは重度訪問介護と障害児者移動支援だった。その頃の話は以前の記事を見てもらえたらと思うのだが、とにかくこの福祉って仕事が楽しかった。食事、排泄、入浴介助はノリと勢いでやって、とにかくそれ以外のことに時間を使いたかった。好きなところに出かけたり、音楽聴いたり、映画見たり。「ケンジョウシャ」と言われる自分のカルチャーと「ショウガイシャ」と言われるその人のカルチャーの交換だ。言っとくけど『優しさ』とか『思いやり』とか『気遣い』とか全然関係ないからね。この仕事していてそんなもの意識したことも口に出したこともない。人間と人間のカルチャーの交換においてあるのは『混沌』だけだ。認め合いましょうとか悠長なことは言ってられない。認め合わなくたっていいんだよ。理解なんてしなくたっていいんだ。人間なんてそんなものだ。小学校の頃から身に染みて分かっている。だからって恨むんじゃない。ただ生きてるんだよね、相手も、自分も。分かりあうことなんて期待しないで時間と空間を共有してみたらいいだけだ。んで、たまたま相手が一人で飯食えなかったら自分の右手を貸せばいいし、たまたま相手が耳が聞こえないなら文字書いて渡せばいい。こいつは友達だーとか大事だなーとかって思うならね。思わないならそんなことしなくていい。誰にでも優しくしてれば世界が平和になるなんて大間違いだ。そんなもの福祉でも何でもない、ただの上辺だけの嘘だ。
そんなことを感じながら福祉の現場で6年くらい働きながらNPO法人Ubdobeってのを作ったんだけどさ、自分の感覚や想いをイベントとかを通じて発信してたらどんどん出会うんだよね、変な奴らと。
背中いっぱいに刺青入ってたり、アル中だったり、医者に脳みそのブレーキが壊れてるって言われて超ロックじゃんって喜んでるやつだったりと。そいつらはみんな福祉の仕事してんの。しかもめちゃめちゃその仕事が好きらしい。何で何だろうね。全国にいるんだよね、そんな奴らが。俺はそんな奴らがなぜその仕事に就き、なぜいまも続けるのかが気になってしょうがない。もはや彼らの哲学を感じたいんだ。
ということでこんなのを始めようと思う。
【日本福祉迷鑑】
ディープ過ぎる福祉の世界に迷い込んだ日本中の変態福祉従事者の仕事とプライベートの表裏全てにクローズアップしたインタビュー記事連載。
うちのメディアUbdobe Magazine(ウブマグ )にて7月から開始しようと思う。
最初に取り上げようと思っているのはこの三人。
どう考えてもダメである。
彼らを取材して記事にするなんて、やったらダメだ。
ダメだ。。。
ダメだぁーーーーーー!!!!
見た目に反する彼らのSNSでの投稿を貼り付けて今日は終わりにしておく。
ということで、【日本福祉迷鑑】は7月からウブマグで開始するので、お楽しみにしていてください。
逆に、「日本福祉迷鑑で私を取材してほしい」という変な人がいるなら是非、Twitterとかで絡んでほしい。もちろん男女国籍年齢問わず。
では、また。アディオス!!!!
Text:岡勇樹(NPO法人Ubdobe代表理事)
Twitter:@uq_ubdobe
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