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読書メモ: 「一生モノの人脈力」

 ネットワーキング・チャレンジのためのリサーチです。

 この手の本を初めて読んだので参考基準がまだないのですが、一冊目にしてけっこうクオリティ高めじゃないかな? という印象。

著者

 Keith Ferrazziはどうもこの界隈では有名人みたいですね。ワールドクラスの人脈クラスタのグルといったところなんでしょうか。あとからウェブサイトを見たら想像よりだいぶイイ男だったので驚きました。

どんな本か?

 全24章のタイトルにあるように人脈形成におけるTipsについて語りながら(「準備は周到に」「食事は一人でしない」「夢中なことを共有しよう」など)、そのメリットや心構えを語ります。基本的には自らの体験談を軸に展開され、科学的な知見はほとんど出てきませんが、クオリティは十分に保っているという印象です。

 ただし、本人の経歴や披瀝されるエピソードはまさにアメリカのビジネスエリートそのものですから、日本の一般的な読者との心理的な距離はあるやもしれません。本人に言わせればイエール大学もハーバードのビジネススクールも人脈のおかげで入れたということなんですけど。

感想

 第一章でいきなりカマしてきますので心してください。

今、私のPDA(携帯情報端末)には5000人以上の電話番号が登録してある。電話を一本入れれば、彼らはすぐ、専門知識、仕事、励ましの言葉、サポート、それに思いやりや愛情さえ差し出してくれる。

 いいですね。自己啓発本のストロングスタイル。このパンチを受け止められた人が読み進める資格があります。

 Tipsを並べていき、あれもこれもイイことがある、という話の行き着く先は何かというと、最終章の手前あたりでわかるのは、要するに著者は「人脈オタク」なのであり、人脈作りがライフワークかつライフスタイルで、人生観そのものだ、というようなことです。

 これはわりと本音のところのような気がしていて、マネタイズしていくためには当然実利を説く必要があるけれど、当人の関心は人脈を広げ育成していくことそのものにあるのかもしれません。だとしたらそれは共感できつつも、その「面白さ」を私自身実感する必要がありますね。

 いずれにせよ、人脈系自己啓発本に出てくるクリシェはほとんど詰まっているのではないかなというほど目端が効いており(ポール・エルデシュは出てきませんでしたが)、おそらくこれをタネ本にした人脈本が日本でもたくさんあるのでしょう。実際に試してみようかなという内容も多かったです。

 惜しむらくは、それって再現性があるの? 文化的な要因はどこまで関係ある? という素朴な疑問に対する言及はどこにもないことですが、あくまで「俺を見習って人脈をつくれ、なぜならサイコーだからだ」という本なのでしょうがないですね。それは別な本に期待しましょう。

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