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三匹のおっさん~ふたたび~

有川浩さんの本である。

有川浩さんの本は、やっぱりおもしろい。

『三匹のおっさん』は還暦を過ぎた三人のおっさんが身近に起こっているトラブルを解決する話だ。

表紙の
竹刀を持ったおっさんが、キヨこと清田 清一。
剣道の達人。

右の眉毛が太いおっさんが、シゲこと立花重雄。
柔道の達人。

左のメガネをかけたおっさんが、ノリこと有村則夫。
メカの達人。

この元悪がき三人組の幼なじみで自警団をつくり、町内巡回や頼みごとを引き受け、トラブルを解決していく。
どこの町にでもありえそうな、日常の中にあるトラブル。

ただ、日常ではありえないほど、この三人のおっさんは強い。それもかなり。

ただのおっさんと思って、いきがって向かってきた相手をいとも簡単にやっつける。

そこもスカッとしておもしろいが、
上から偉そうにものをいうのではなく、相手を理解し、さとす懐の深いおっさんたちが魅力的だ。
なぜいきがるのか、なぜ悪態をつくのか、このおっさんたちは、わかってくれる。そして正しい道に直してくれる。

現代ではあまり出会えることのない、サザエさんに出てくる波平のようなTHE昭和のお父さん感に惹き付けられる。

そしてまたこのおっさんたちは魅力あふれる素敵な人たちに囲まれている。
そのストーリーがまたいい。

私は特にノリの娘である早苗が関わるストーリーが好きだ。
彼氏との一喜一憂や、父親であるノリさんの再婚話での心の葛藤。

『もう高校生』

『まだ高校生』

この微妙なおもいの揺れ動きに切なくなったり、ほころんだりする。
あの頃の感覚が自然と甦ってきて懐かしい感情を味わうことができる。

10代から60代と幅広い層の物語が広がるこの本は、様々な年代の思いを感じ味わえる素敵な一冊だ。

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