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電力の HTT の推進 第3四半期進捗報告(第23回:SOINN株式会社、第24回:inQs株式会社、第25回:エリーパワー株式会社)

今回は、2022年11月に実施された第23回・第24回・第25回ピッチイベント優勝社との協働プロジェクト「電力のHTT「H」減らす・「T」創る・「T」蓄める)の推進」に関して、2023年12月末時点での協働の様子をご報告いたします。

■第23回「H:減らす」優勝社 SOINN 株式会社との協働

東京ビッグサイトの空調設備のオペレーションを AI がレコメンドすることで熱量(電力量)を削減
SOINN が独自に開発する AI は、熟練のオペレーターによる空調オペレーションを学習し、その日の気候データや会場の室温・湿度やイベント内容といった利用データ等から最適な空調制御をレコメンドするシステムです。
従来オペレーターの経験と勘に大きく依存し、属人化していたオペレーションを、様々なデータを組み合わせて分析することで、消費熱量(電力量)の削減と、ホール間の室温差を減らし快適性を向上させる効果の双方が期待されます。

東京ビッグサイトで開催されたイベントにてプレ効果検証・本番効果検証を実施
2023年11月・12月に東京ビッグサイト東展示棟で開催された大規模イベントにて、AIシステムによるレコメンド機能のプレ効果検証・本番効果検証を行いました。
イベント中多くの来場者の出入りがある中で、空調制御オペレーションのレコメンドを実施し、AIの推奨温度の妥当性と中央監視システムへ推奨温度を反映するタイミングを確認しました。
ここで得られたデータをもとに、空調オペレーターのオペレーションとレコメンド間隔の検討や、AIアルゴリズムの調整がなされ、現在は東展示棟と西展示棟の空調をAIで安全に自動制御するための開発・検証・各種調整を実施しています。

■第24回「T:創る」優勝社 inQs 株式会社との協働

新たな地産地消型エネルギーの創出を目指すべく、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターに太陽光・室内の明かりから発電するガラスを設置
中小企業への技術支援機関である東京都立産業技術研究センターでは、inQs の可搬型及び内窓型発電ガラスシステムを同センター施設内に設置し、太陽光と室内の明かり双方で発電させる実証実験が行われています。
inQs のガラスシステム「SQPV」は、2 枚の板ガラスの向かい合った内側に透明な発電層を組み込むことで、部屋の内外から受光し発電することができます。

ガラスシステムの一部を改良し、現在システムの稼働状況のモニタリング及びデータ取得作業を継続中
2023 年 11月に一部の内窓型ガラスシステムを改良し、本ガラスシステムが正常に稼働しているか、安定的な運用が可能かどうかを確認するため、稼働状況のモニタリング及びデータ取得作業が行われています。
具体的には得られたデータをもとに、発電量と照度・温度・湿度の関係性や発電量がテスト期間中を通じて安定して得られているかを確認しています。

前期に引き続き、夏から冬にかけても、毎日、朝から夕方まで安定した発電量が得られており、天候の悪い日でも一定の発電量がありました。
東京(北緯35度)より緯度の高い場所(例:ニューヨーク:北緯41度、パリ:北緯49度、ロンドン:北緯51度、ヘルシンキ:北緯60度)でも発電できると期待ができ、今後も継続的にシステムの運用データ取得を実施していきます。

■第25回「T:蓄める」優勝社 エリーパワー株式会社との協働

ピーク電力の削減・シフトを目的とした可搬型蓄電池システムにより、電力需給のひっ迫緩和に貢献
エリーパワーが提供する可搬型蓄電池システム「パワーイレ・スリー」とその一括管理システムは、オフピーク時に電力会社の電気を蓄電し、ピーク時には蓄電池に蓄めた電気を放電することで使用電力のピークシフトを実現します。
多くの台数を束ねることでより大きな効果を発揮するほか、停電発生時など有事の際にはスマホ等の充電スポットとして一般開放することもでき、多くの場所に設置することが理想的な運用となります。

東京都関連施設に設置した「パワーイレ・スリー」のさらなる活用促進と、電力のピークシフト効果増大に向けた取組みを推進中
2023 年 12 月現在、東京関連施設にて計 47 台が稼働中で、各事業所においてピークシフト効果を大きくすることを目的としてその運用が模索されています。
前期に引き続き、有効活用されているモデルケースや事例紹介、設置場所や接続先の工夫等のアドバイスを行い、より多くの事業所で「パワーイレ・スリー」を利用してもらうよう、またより負荷の高い機器へ接続してもらうよう働きかけ、事業所全体での HTT 促進に向けた蓄電池システムの有効な運用を模索しています。

 以上、電力のHTT(減らす・創る・蓄める)に関する 3 つの協働プロジェクトの進捗状況についてお伝えしました。

HTT はゼロエミッション等にもつながる、東京都のエネルギー問題解決に向けた重要な取組であり、スタートアップとの協働を通じたさらなる発展が期待されます。

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