「Th.のからだを通じてCl.のこころに働きかける」
はじめに
「こころとからだをつなぐ」WSの僕の持ち時間では,座学的な内容も入れていこうと思っていましたが,座学的な内容はnoteに記載して,当日は身体を使うワークに多くの時間を割きたいと思います٩( ᐛ )و
最近の興味
Thの身体感覚(リラックス)をClに伝えることができるのでは?
Clの身体感覚(緊張)をThが受け取ることができるのでは?
興味深い論文が…
大脳右半球(右脳)の役割
感情調節機能
右脳が乳児の感情の調節と暗黙のコミュニケーションに重要な役割を担っている
乳児と養育者の間の感情的な同調や再同調のプロセスは,右脳によって調節されている
非言語的コミュニケーション
非言語的コミュニケーション,特に顔の表情や身振りなどの感情表現は,主に右脳で処理される。これにより,言語を使わずに感情を伝達し,共有することが可能になる
心理療法の文脈では,ThとClの間の非言語的な感情コミュニケーションが治療効果を高める重要な要素
ClとThの右脳の相互作用
心理療法セッションにおいて,ClとTh間の非言語的コミュニケーションと感情的な同期が重要である
この非言語的な交流は,右脳の活動によって支えられ,感情の共有や調節,相互理解を促進する。この過程は,Clの感情的な癒しと成長に寄与する
心理療法における右脳の優位性
心理療法における右脳の優位性は,感情の暗黙の調節や非言語的コミュニケーションの重要性を裏づけている
この優位性は,セッション中のClの感情状態への焦点や,その感情に基づいた治療的な介入を可能にする
右脳は,Clの感情的な経験や関係性のダイナミクスを処理し,それらを調節する役割を果たしている
これにより,心理療法が単なる言語的な洞察以上の効果を持つことが示されており,Clの感情的な癒しと成長に貢献している
この図は,2人の個体間での非言語的なコミュニケーション中における右頭頂葉における脳間同期を上から見た視点を示している
図中の各色は異なる周波数の脳波を表しており,赤はガンマ波,オレンジはベータ波,青はアルファ波に対応している。これらの線は,2人の脳間で同期している特定の領域を示しており,その同期が非言語的コミュニケーションの家庭でどのように発生しているかを視覚的に示している
このような同期は,2人の感情の共有や理解を促進する可能性があり,社会的相互作用の神経基盤に関する重要な洞察を提供している
そして最初の興味に戻ります!
Thの身体感覚(リラックス)をClに伝えることができるのでは?
Clの身体感覚(緊張)をThが受け取ることができるのでは?
つまり…
エクスポージャーの最中のオーバーエンゲージメントを防ぐことができるのでは!?
言語面接中のClの緊張を受け取り,Clの緊張状態把握やThの身体操作で緊張を軽減できるのでは!?
まとめ
言語面接中は,言語のみで情報をやりとりしているのではなく,非言語情報も無意識でやりとりしていることがわかりました。また,何かエクササイズを挟む必要なく,ThがリラックスしていることがClの緊張軽減に寄与する可能性が示唆されました。リラックスとは,力が抜けたダルダルの状態と思われがちかも知れませんが,筋肉の緊張と弛緩のバランスの取れた状態をリラックス状態であると古武術では考えます。古武術の姿勢,呼吸,意識の持ち方を利用して,古武術的なリラックスを体験してみましょう!
参考文献
Dumas, G. (2011). Towards a two-body neuroscience. Communicative & Integrative Biology, 4(3), 349-352. https://doi.org/10.4161/cib.4.3.15110
Schore, A. (2022). Right brain-to-right brain psychotherapy: Recent scientific and clinical advances. Annals of General Psychiatry, 21(1). https://doi.org/10.1186/s12991-022-00420-3
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