記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

第0章 雷鼓~戦国の約束〜

※個人の観劇感想記録なのでネタバレにならないようにお気をつけて



何が怖いってこれが0章と銘打たれてること。






2024.6.13〜16
北文化小劇場
KHP企画「第0章 雷鼓〜戦国の約束〜」
15日のマチソワに伺いました(マチネがAチームソワレがBチーム)

和太鼓の生演奏(お一人で100分以上叩いてらっしゃるのがそもそもエグい)と刀や槍、クナイなどなどの殺陣にハイクオリティな歌、演技…めちゃくちゃ贅沢。客席のキャパがこの規模なのが不思議なくらい。
太鼓の音の響き方とか、花道が活かされてて見応えあったので今回の劇場が良かったのは大前提として、もっと大きい箱でやって欲しいと思うような規模感でした。

演技のお話


上から目線で失礼過ぎて嫌になっちゃうんですけど、誰1人適当に持ってきてないのが分かるのでこっちもそれぞれの演技に心揺さぶられる感覚。アンサンブルの方まで皆様ちゃんとその時間を生きてらっしゃるというか。
だからこそ、日替わりゲストさんのシーンとかアドリブが面白い。のめり込んで見ててやったるでぇ!!ってぶっ込まれるのでメタ的な世界でも冷めない。雷鼓屋行かなきゃってなる笑

題材的にどうしても歴史上起きたこと、というのがある上にストーリーは秀吉の回想や思い出を基に進んでいくわけですが、光秀の描写とそれを語る福島正則の様子、場の空気を引き締める太鼓の効果音があることで一人称視点の話で終わらず、出来事も登場人物も多いけどこんがらがらない。そして感情移入して観られました。

ストーリーのお話


今回観てて、人が生まれて生きて亡くなって、思いや願いが次の世代に引き継がれていくのはどの時代もきっと普遍的なことなんだろうなと。ただ、時代柄そのペースも重さも桁違いだったんだろうなと思いました。
本当に大切に生きろって言葉がこんなに響くことないなと思いました。

このストーリーでは少なくとも秀吉はそれに押しつぶされそうなくらい感受性が豊かで、全部背負おうとする人だった。(その人が亡くなってしまった事実すらも)
そして光秀も鈍感な人とかじゃなくて何かあったときに引き継がれた思いや願いが自分の中で燃えてくれているからこそ、知識を元に深く考えることができた。深く考えることができるから先の先のことまで考えて足が竦む。

自分の弱みを相手は持ってないように見えて、補ってくれる信頼がある。その上で相手のことが心底羨ましい。という関係だったのではないか、という。…純粋にこの世界の2人で天下とって欲しくなりました。そんなことは史実上あったとか無かったとか関係なく。

(欲を言えば左京先生と右京さんもいて欲しい)

音の演出

音楽の素地の全然ない私なのでまたとんでもなく失礼なお話なんですが、凄いなって思ったのが音響と太鼓の音がちゃんと地続きなこと。勿論迫ってくるものは全然違うんですけど、音が軽すぎたり太鼓と合ってないメロディや音圧ってことがなくて前で見ても真ん中の方で見ても心地良かったです。
(太鼓と曲が合わさってるときに話す役者さんの声はどうしたって聞きづらかったんですけど、こればっかりは私が色んな音が混ざると聞き取りづらいタイプなだけなので仕方なし。音がオーラみたいでむしろ心に迫ってくる。)

最初のはじまり方は誰も居ない環境で太鼓の音が響き渡るのは緊張感が出てきて良いものの、客席はいつ始まるのか知らないわけなので長くその環境に置かれると不安になっちゃうのが難しいなと。(不安というか、席立っていいのダメなの?とかそういうやつ。でも、あの音全部聞いてると観るための心は整う。ぼやけてたのが一箇所に収斂していく感じ。でも結構長い。)

よく舞台観る人だったら、客電ついてるからまだか…ってなるんですけどそうじゃない人からしたら音がクリアに聞こえてて舞台に照明がそれなりについてる時点で劇始まっちゃってるので人が出てこないまま音鳴り続けてるぞ…?ってなるなこれ…と思いながら観てました。どういう効果を狙った演出だったんだろうか?イベントとかあったらお話聞いてみたい!

そして、舞台上に動きが少ない状態での長めの英語のナレーション。歴史とか登場人物をさらっていっているのでこれで度々英語ナレがあれば、あーそういう劇か(内容が伝わりやすく言葉で伝える部分を多く作った劇)って思うんですけど度々挟んでると助長になっちゃいますし難しいですね。
ナレのときにそれを現す(血が流れる戦国の世感)殺陣が行われてるか、どこかに日本語字幕とかキーワードが視覚的に提示されていれば日本人で日本史の知識が浅い人にもよりストーリーが伝わりやすいんだろうなと思いました。

今回はクラファンのリターンに、日本で暮らすウクライナからの避難民をはじめとした外国人の方に観劇チケット送付、があるので実際に外国人の方と思われる観客の方もいらっしゃいました。その方達が観てどう思ったのかも聞いてみたい気が。

※ここに書いてるのはだから良い劇とか悪い劇とかこうしろああしろってことじゃない上に、誰向けの劇なのかみたいな話だったりするのでこの話はここで終わり。あくまで観て思ったことまとめ。

衣装の話


個人的に本番に向けてビジュアルが変わっていくのワクワクして好きなんです。固まっていってる感が。ポスターと当日の演者何もかも違うじゃん、みたいなのもまた一興。

服装の感じで言うと前田利家が傾奇者と名乗ったとき、そうだろうなあととっても納得。だって和服に房(エポレットみたいなの)とかついてるもん。(その上でお芝居でこれは強者だなってすっごく伝わってくるんです。槍ぶん回しかっこよかった)

秀吉はかなりシンプルで水色系に黒の防具、その一方で光秀は金色が何種類か使われた細かい柄に赤い紐、傾奇者はかぶいてて、秀吉の部下は真っ青に波の模様の上に菊(?)柄の裃…主君が傾奇者だと部下の部下まで派手になり得る感じ…?って勝手に思ってました。(回想はさておき戦国時代の末期の安土桃山時代だしそりゃ華やか)

時々思うんですけど、和装って着る人が違うと印象が違うというのは勿論だとして舞台と客席の距離によって柄と色の印象がかなり変わってくるような。
(柄とか色合い、着方、着ているものが年代や身分、立場で全然変わるのはどういう劇でも同じなので、勉強不足な自分を感じました。)

あと、めちゃくちゃうまい歌い手の皆様の衣装なんか中華テイストだった気が(刺繍とかカラーリングとか袴の感じ)…どこかで使ったお衣装なのかな?とちょっと好奇心が湧きました。歌もお芝居もうますぎてだんだんそれどころじゃ無くのめり込みましたけど。

衣装豪華なの大好き人間。

最後に

今年に入ってから大小色んなタイプの劇を拝見する機会がありました。ミュージカルもあれば、小劇場のストレートとかも。どれにも良さがあって、やっぱり人が真剣に生み出した劇見るのは楽しいなって今回の舞台で改めて思いました。エンタメとして完成度の高かったこの作品が、まだ第0章なのが本当に末恐ろしいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?