trust〜幻想の道〜

2024年2月12日 15:06

ハードボイルドってやっぱりいいですよね。

2024.2.9〜2.11
G/PIT 「trust〜幻想の道〜」
2.11のマチソワとメンバープレゼンツイベントに行ってきました。

強盗というか悪い金持ちのところに盗みに入って、報酬を得て一部は身寄りのない子供の施設に寄付するような"義賊"の組織の一員な3人。
施設にいた頃からずっといっしょ。裏切るなんて考えたことないありえない。

もう設定がいいですね。3人息ぴったりな部分も相俟って、長年の付き合いを感じさせる。

アドリブというか役者裁量の多い舞台だなと思って観てたんですけど実力ありきとはいえ、ツッコミの間合いがめちゃくちゃ短い。(もちろん聞き取れないくらい被ってるとかは無い)3人の"日常"の間合いなんだろうなって。
でも、ただ捲し立て続けるとかじゃなくてシリアスにぐっと空気が濃くなる瞬間がある。
子供っぽさを感じる部分があるのに年相応に重ねてきた経験の重みがありました。(それでもこの役の3人はきっと若いのだけど)

タイトルに寄せて

タイトルの通り、信頼が物語を通してキーになるわけですが、何を持って信頼とするのか裏切りとするのかを凄く考えさせられました。

私は信頼って一方的なものだと思っていたので、相手から裏切られたと感じたらそこで終わってしまう気がしてたんですけど
「相手から信じられていると信じる」
ことが信頼の一つの形なのだとしたら、この話に裏切り者っていない。

デッドマンスイッチ握らされて命がかかってるシーンもなんですか。
戻ってこない選択肢もできたし、3人でお互いを撃って終わらせるとかだって見せ方としてはある。
でも、それを3人は自分の意思で選ばない。

ジュラルミンケースを押さえる手

銃を持つ手や字を書いていた手的にはおそらく3人とも右利き。

手がふっ飛ぶのは確実だろうというこの状況で、唯一利き手でケース押さえた男がいたんですよ。
そりゃあ立ち位置からしてこういう押さえ方をするから…みたいな舞台演出の都合もあるのだろうけど。(演者さんに聞いたら演出8割)

観た上の想像ですが彼はその状況でも2人を信じてた。信じてるからこそちゃんとこのケースを押さえきりたかったのかなって思えたシーンでした。
生きるってなんだ、に死なないことじゃないかと答えた彼なので。

役者さんのここ好きポイント

・藤井廻役　岩崎真さん
言葉を発していないときの演技がめちゃくちゃよかったんです。
目の光が心情の移り変わりを如実に表してて、セリフが聞こえたんじゃないかと思う瞬間もありました。
今回かなり仲間の名前を呼ぶことが多い役だったので呼び方の雰囲気ひとつでその場の状況や空気感が伝わってくるのが印象的でした。最後のシーンの銃のこだわりとか、細部をしっかり拘ってつくられたんだなって思いました。

・伊達翔太役　山内涼平さん
人のぶっ込んだネタの捌き方がすきでした。
普段ふわっとしてるけど、仲間のことは本気で信じててっていうのが伝わってくるからこそ気持ちが痛いほど分かる…ってなって心が締め付けられました。キャラが真っ直ぐ動いてくれるからお客さんもストーリーに着いてこれるんですよね。楽しそうな時とシリアスなシーンのギャップがすごくて撃ち抜かれてしまいました。

・寺田けいと役(下のお名前の漢字分からなくてすみません)　藤田誠樹さん
2回目の時にこの台詞どういう気持ちで言ってたんだろうって思いながら観てたんですけど、うわあ…これは、ってなるくらいちゃんと一貫したキャラクター作り。
クサイ台詞回しとか動きが全然くどくない(わざとらしくない)とてもかっこいい。
個人的に立ち回りの動きがお三方の中でも決め方とかが好きだなあと思いました。ガツっガツってしっかり刀を振るって、地を踏みしめてる感じもとても。

最後に

2月4日から稽古してコレって…凄いなって思ったんですけど、キャストメッセージで書いてらっしゃるように空気感は出来上がっている信頼できる関係性だからこその舞台なんだなって感じました。

私はあまりお三方全員のこれまでを追えている人ではないんですけどイベントの時の、今だから言える話とかやりとりで本当に10年を大切に積み上げてきた関係性があるんだなって感じました。
殺陣やってる姿も見れて嬉しかったんですけど、あんなに狭いところで3人立ち回りって本当にすごい…。
イベントの最後、二刀流でやっていい？と誠樹くんが言った時に三刀流にしたら？と提案しても結局咥えてるだけだしと準備してたら
徐に真くんと涼平くんが一本しか持ってないのに咥えて向かって行って二人が歯痛めてるのも面白いし、見てない間にすな！ってなってる誠樹くんも面白くてちょっと関係に思いを馳せたりしました。もちろんその後にちゃんとやってくれてて良かった。