【怪談手帖】エコー【禍話】
「小劇場だったのかなあ。ちょっとした劇だとか音楽会だとかやれるくらいの、そこまで広くないホールのある建物なんだけど」
Aさんは平日昼の静かな喫茶店でコーヒーを待ちながら、そのように語りだした。
「建てられた当時の目的とか、詳しい事情知ってる人がもういなくてさ、私達が子供の頃にはほぼ廃墟と言ってよかったし」
「それでそこに!?」
「う、うん。『小人』が出てたんだよね」
小人の幽霊の話が聞けるという事で知人に紹介してもらったのが、証券会社で事務員をされているAさんであった。