禍話リライト 怪談手帖「錆井戸」
「あんた、人の嫌な思い出を集めてるんだって?いい趣味してるねぇ。」
知人から紹介してもらったAさんが、そう言いながら話してくれた彼の思い出。Aさんは長い間、子供の頃に見た映像が怖かった。本筋は全く覚えておらず、あるワンシーンだけが、鮮烈に頭に残っていたという。
全体に赤茶色がかった、鉄サビの吹いたような画面の中、子供が井戸の端に立っている。井戸からは着物を着た女の後ろ姿が上半身だけ出ており、子供へ手を伸べて、何がしかの品を渡している。
女の全身はひどく汚れていて前後の印