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余寒の怪談手帖 リライト集

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怪談手帖が大好きすぎて〈未満〉も含め、色々な方のリライトをまとめてしまいました。 原作者・余寒様の制作された書籍、「禍話叢書・壱 余寒の怪談帖」「禍話叢書・弐 余寒の怪談帖 二」…
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2022年4月の記事一覧

禍話リライト『火車』(怪談手帳より)

「通夜の席でね、棺から音がするんだよ」 Aさんはかつて住んでいた町で噂されていたという怪異について語ってくれた。 「いやそんな大きい音じゃないんだけどね。内側からこうゴッ、ゴッって叩いたり、モゾモゾゴソゴソって身動きするような音がしたりね」 町で死者が出るとそういうことがしばしばあり、そして。 「そういうときには裏口――表と逆にある出入口だね、それを見に行けって」 そうすると裏口から出たところで、必ず見える範囲に猫がいるのだという。 「絶対どっかに気持ち悪い猫がいる。要する