映画『アバウト・タイム』見た

赤子の世話にてんやわんやの日々を送っています。

一言で言うと、「赤ちゃん、あまりにも赤ちゃんすぎる」

自らが放ったおならの音にびっくりして泣く。
自分の右手をしゃぶりたいが、腕をうまくコントロールできずに泣く。

う、うそやろ…?!とこちらが戦慄する理由で泣くのです。
もしくは理由もなく泣くのです。

ベビーベッドに寝かしつけられるのだけは絶対に許さんという固い意思をもっており、しかも抱っこして立って揺れていないと怒って泣くという欲張りさん。

ある程度赤子の眠りが深くなると立って揺れていなくても、抱っこしてさえいればそのまま寝続けてくれるのですが、その頃には腕が死んでいます。

そういうときはベッドやリクライニングチェアに仰向けに横たわり、そのまま自分のお腹の上に赤子を乗せて、荷重が腕ではなくお腹に乗るようにして少しでも楽になるようにします。
(もちろん落ちないように手で抱っこしたままですが)

このときの、お腹の上で丸まってすやすや眠る我が子がなんとも可愛くて、愛おしい。

そしてその寝顔を見ていると、私の選択によってはこの子に出会えてなかったんだな、と思ってぞっとするのです。

もしかしたら子供を産むという選択をしていなかったかもしれない。
産むとしても、父親が違う相手だったら、今胸に抱いているのはこの子ではなかったでしょう。
子供が欲しいと思って、父親も同じだとしても、タイミングによってはうまく妊娠できていなかったかもしれません。

自分がこの世にいることについてはなんとも思わないけれど、自分の子供に関してだけは、自分の選択が目の前の存在に直結しているように感じます。

そういうことをつらつら考えていたタイミングで、映画『アバウト・タイム』を初視聴しました。

※前置きが長くなりました。以下、映画『アバウト・タイム』のネタバレがあります。しかも否定的な感想ですので、この作品が大好きだよ!って方はこのまま画面をそっと閉じて逃げてくださいね。

この作品は主人公の男性がタイムトラベルの力を使って自分の幸せを見つけていくお話です。

主人公には現在から過去に行ける能力があり、作中での説明はなかったけど、過去で何かした後すぐに現在の時間軸に戻って来れるようです。
(例えば5年前に戻ってなにかした後、現在に戻るまでに5年の歳月を再度経験するのではなく、すぐ現在に戻れる模様。…と理解しましたが、違いますかね。)

とても素敵な女性と出会った後、別件でタイムトラベルをして過去を変えたことで、女性とは出会えない世界線になってしまいます。
なんとか女性とうまく行くために何度も過去に戻ってやりなおすのですが…というお話。

主人公はめでたくこの女性と結婚します。

…世の人々はこれを見て「なにがなんでも自分を追い求めてくれるなんて素敵!」ってなるんでしょうか。

もし私がその女性で、この事実を知ったならば、「なんでてめぇの都合で私の人生を決められなあかんねん!!」って激怒すると思うのですが…

まぁいったん置いておきましょう。

主人公は結婚し、一人娘にも恵まれて幸せな日々を送るのですが、ある日主人公の妹が交通事故にあってしまいます。

主人公は娘が生まれるよりも前の過去に戻り、事故が起こらないように過去を変えます。

(え?娘が生まれるより前の過去を変えてまうの?)

現在に戻ってきてみると、愛する娘は知らない男の子にすりかわっていました。

子どもが生まれるよりも前に戻って事象を変えてしまうと、妊娠するときの精子が変わってしまい、まったく同じ子供が産まれなくなってしまうということが発覚するのです。

主人公は思い悩みましたが、結局妹が交通事故を起こす世界線に戻して、無事愛娘と再会します。

この時点で先程の男の子は存在そのものが無かったことになりました。
その子も愛する女性との子供であるにも関わらず…
そもそもよく考えずに子供が生まれる前の事象を変えてしまっていることも、結局妹より自分を優先していることも、気になります。

ですがまぁ、これもいったん置いておきましょう。

ある日、主人公の父親が亡くなってしまいます。
ですが主人公は過去に戻ることができるので、何度でも父親に会うことができます。

しかし愛する奥さんに二人目の子供が欲しいと言われ、思い悩みます。

2人目が産まれてしまえば、もう父親が生きていた過去には戻れない。
過去に戻ってなにかして現在に戻ってきても、2人目の子供が別人になってしまうからです。

結局2人目を作ることにし、無事に妊娠。月日は流れ、まさに出産目前のところで主人公は最後に父親に会いにタイムトラベルします。

…いやいやいや、

もしかして、産まれてへんかったらお腹の中の子が変わってもええと思ってる…?

出産までに父親に会うために何回タイムトラベルしたんか知らんが、母親的には10ヶ月おなかの中にいた我が子が知らぬ間にころころ変わってることになるんやが…?

父親的には、我が子は生まれて自分の目の前に現れてくれた後しか重要じゃないのでしょうか。

…ということがどうしても納得できなくて、同居人に感想を話したら、
「でも奥さん的にはお腹の子がころころ変わってることは知る由もないんやろ?彼女の中では辻褄があってるんやろ?ならよくない?」と言われてしまいました。
そう言われたらまぁ確かにそうだけど…

私ももしかしたら妊娠と出産を経験する前に視聴していたら、そんなに気にならなかったのかもしれません。

でもこの映画を見たおかげで気づきがありました。
そうか、たとえ父親が一緒だとしても生まれてくる子供は同じではありえないんだ。
考えてみたら当たり前の話で、父親と母親が同じでも生まれてくる子供はみんな同じわけではないのです。

冒頭で「もし父親が違えばこの子に会えてなかったかも」「自分の選択が目の前の子に直結している」などと思うことがあると話しましたが、父親が同じだとしてもこの子がこの子として生まれてきてくれたのは奇跡だったんだな、と再認識したのです。

ちなみに、映画については散々文句を言ったので「そんなに文句あるなら途中で視聴をやめたらよかったやん」って思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、

個人的には映画は最初から最後まで見た者だけがその作品を批評する権利があると思います。
というか、私なら最初から最後まで見た人の意見だけを聞きたいし、参考にしたいです。
(どれだけ途中の展開がつまらないと思っていても、最後の最後の台詞が心の琴線に触れて一生忘れられない特別な作品になるかもしれないしね。)

ちなみに『アバウト・タイム』に関しては奥さん役のレイチェル・マクアダムスが最高に可愛いので、それだけで一見の価値はあると思います。
『シャーロック・ホームズ』シリーズの妖艶なアイリーン役も大好きでしたが、今作みたいなチャーミングな女性を演じさせたら敵なしって感じですね。
そりゃあ主人公がなにがなんでも手に入れたくなる気持ちもわからんでもない。

長くなり過ぎてしまいました。

ここまで読んでくださってありがとうございます。
昨年に引き続き、Twitter(X)もnoteも投稿頻度は少ないと思いますが、本年もどうぞよろしくお願いします。

2024/01/22

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