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10章の登場人物+α(レイダン・ミミットの約束編)(1)

「幕間:レイダン・ミミットの約束(1)~(3)」まで。


◎レイダン・ミミットLV56 …… <金の黎明>の副党首。濃い茶髪、エラが張っている。容姿端麗で礼儀正しく、話術も堪能ときて、さらにはメイデン王家や王侯貴族からも信頼と恩顧を受けている七騎士の1人。家は革職人だが、倉庫と厩舎も経営し、平民では裕福な方だった。
バウナーが失脚したあとは誰もが望んでいたように党首の座についた。もっともレイダンが党首の座につきたかったのは、騎士道精神を体現する表の顔とは裏腹にひた隠しにしていた「別の理由」による。実はレイダンにはエルフの恋人があり、彼女と結婚するために党首になりたかったにすぎない。結局この願望は、党首に着任後にオルフェ軍の捕虜になりかけたところを恋人のウィプサニアに助けられ、ウィプサニアの家であるファブリツィウス家にも多大な恩を受けてしまったものの成就することになり、レイダンは願い通り、晴れて婿入りすることになった。
剣士としては非常に多彩。その剣術の才能は無尽蔵とも言われ、《穿孔衝ピアースインパクト》などの一部の槍技含め、斬撃、刺突、カウンター、流し、巻きと、あらゆる剣術と、《狼雷》や《車輪斬り》、《怒涛突き》《騎兵殺し》などの幾多の剣術系スキルを高水準で打ち出すことができる。アマリアの剣術師範たちをして「剣術師範以上の完璧な剣術」と言わせる剣術の天才であり、マーグレー流剣術の師範代の資格を持ち、ウレーノス剣術を伝えることもできるとされる逸材だが、最も脅威とされるのは《払暁デイブレイク》をはじめとするレイダン自身で編み出したオリジナルのカウンター剣技にある。愛剣はトワイライト。
狼人ワーウルフ …… 獣人の一種。狼種。
・バウナー・メリデ・ハリッシュLV65 …… 45歳。茶髪。眉が切れている。<金の黎明>の党首であり、七騎士の筆頭騎士。魔人の出現時には編成される勇者隊(咎を討つ者)の筆頭であり、アマリアの英雄。ハリッシュ家の次男。私生児で、幼少時には貧民街で苦労した。近年は度々貧民街に出入りするようになり、幸い犯罪に加担することはなかったが、賭博・酒乱・喧嘩など問題行動も多い。ハリッシュ家の人間以外で心を許しているのは従士のバッシュ、ドラクル公、馬番のアリーゴド、前王、そして副党首のレイダンだと囁かれている。
武器は剣で、鋼鉄剣のクォデネンツ。先祖返りにより古竜シンラーダの血を宿しており、そのために「古竜将軍」と称されている。圧倒的な武力と身体能力により各地で絶大な武功を挙げるが、そのことと古竜の血を理由に白竜教の信徒たちからは恐れられつつも異端児扱いされている。推挙した前王が王の座を引くと、いよいよその座が危うくなるだろうという方々であった囁きが覆ることはなく、バウナーはクリスティアンから処刑されかけ、王都を後にすることとなった。
■金の黎明 …… アマリアが擁する精鋭部隊「黎明の七騎士」の1つ。筆頭騎士で、大陸一の戦士とも誉れ高いバウナーを抱え、バウナー以外の党員も実力は高め、七騎士の中でも一番の実力を持つとされる。
■白蛇を食らう獣 …… バウナーたち金の黎明が討伐に赴いた賊。ニコロを殴ったアバタヌという構成員がいる。
・クバ・ランヒャーLV42 …… <金の黎明>党員の1人。槍使い。軽い冗談をよく言う。フベルトとは酒を酌み交わす仲。近頃のバウナーの地位について懸念しつつも、なんとかなるだろうと楽観的に考えている。
・フベルトLV41 …… <金の黎明>党員の1人。剣使い。クバと仲がよく、連携は強力。
・パヴェル・ミヒステンLV40 …… <金の黎明>党員の1人。魔導士。魔導士らしく博識豊か。バウナーにはなにかと噂が絶えないが、レイダンと同じく尊敬しつつフォローしている1人。
・エミルLV30 …… <金の黎明>党員の1人。ホムンクルス兵で荷物持ちの党員。ホムンクルス兵であるため感情の発露は少ないが、忠実に党員たちをサポートする。
※アラッタLV45 …… ミンスキー城の訓練教官。有事には将校として戦う。《瞬筋》の使い手であり、フベルトが有力な使い手としてバウナーとともに彼の名をあげた。
※ヤーシダLV23 …… ミンスキー城の訓練教官で、準教官。本職は七騎士周りで経理を担当している。口ばかりで実力が伴わないため、クバのように党員からはよくやり玉に挙げられている。
※トム・カレンバハ …… ニコロを購入したが、<白蛇を食らう獣>の襲撃にあって死亡した。
・ニコロ(・ウベンハット) …… フリドランはランドルプールで薬や魔法薬を製作している家の息子。ウベンハット家は粗悪品ばかりを流したため悪名が流れ、売れなくなり、ニコロを売ることになった。
■ランドルプール …… フリドランの南端にある都市の1つ。国境都市でもあり、南からフリドラン領へ入るための関所の役割も担う。
・ラドリック・ヒンゼリードLV36 …… 44歳。党員の1人。槍使い&治療師。18歳になる息子と16歳の娘がいる。ヒンゼリード家は子爵家。若い頃は長兄よりも優秀だった。とある家の侍女を身ごもらせた経緯から家での立場が危うくなったが、修道院に入ったり、その後軍での地位を高めていくにつれてやがて立場は回復し、男爵家の娘と結婚した。ラドリック自身はもう退役してもいいと考えるが、家の者は貴重な七騎士の地位を簡単には捨てさせはしなかった。
・バース・ゲスタLV35 …… 党員の1人。射手。恋人があり、隠れてよく会っている。ラドリックのような過ちは犯していないが、若い頃は奔放な性質を見かねた父により修道院に入っていたことがある。
・バッシュLV38 …… <金の黎明>の一人。バウナーの従士。バウナーが金の黎明の党首を襲名した時にバウナーの従士になった。元々とある商会の用心棒だった。バウナーが気を許している数少ない人物であり、バッシュもまた、そんなバウナーとの友情を忠義とともに大事にしている。バウナーの処刑時に、ホラン・メルのブレスに身を挺して死亡した。
■ラモリケ …… アマリアの小都市の1つ。バウナーたちが<白蛇を食らう獣>討伐の際に滞在した。
※ボホナー …… アマリアの軍務官。<金の黎明>を補佐する人物。妻がエルフの耳の粉末を飲むのを容認していることから信頼の置けない理由とし、バウナーはニコロの件を報告しなかった。
※クラトフスキ …… とある都市の執政議員の1人。半年ほど前に大々的なエルフの人身売買が露見し、公開処刑されるとともに人身売買の規制が強化された。
■ホルトハイム連合 …… アマリアにある派兵を主とする組合。ようは傭兵団。ホルトハイム家はかつて、旧王家に忠誠を誓う騎士家だった。
■グライドウェル傭兵団 …… オルフェのグライドウェル家が統括する傭兵団。オルフェ以外の国にも派兵を行っており、アマリアの諜報が睨んでいる組織の1つ。アマリアでは三男が支部長を務める。
※クリストハルト・グライドウェル …… 34歳。グライドウェル家の三男。茶髪暗褐色目。アマリア支部の支部長を務める。善人で、戦闘の実力はそれなりだが、統率力に優れる。他にも3人の身内がアマリア支部を担当し、協力体制を敷いている。クリストハルトは主に北部。本人も意図していなかったが、バウナーとは懇意。


・クリスティアン・マレク・イル・メイデン …… 24歳。現アマリア王。神聖アマリア王国メイデン10世王。「辣腕王」「冷血王」。戴冠後は早々と内政事情にメスを入れ、周囲から良き王としての期待が持たれている。結婚には否定的な見解を持ち、グラジナ皇太后や家臣たちの悩みの種になっている。ある日、水面下で進めていた作戦を実行に移し、筆頭騎士バウナー、ドラクル公爵、ハリッシュ伯爵の要人三者の執行および処罰、白い嘴の鴉の解体、腐敗した白竜教幹部の処罰など、革命を起こした。
・グラジナ・ユシテイナ・イル・メイデン …… 前メイデン王の妃であり、クリスティアンの母親。クリスティアンの縁談がうまくいかないことが近頃の悩み。戴冠してからは、政務が落ち着くまで妃はとらないとクリスティアンから言われているため、控えている。とはいえ、侍女を入れ替えてみたりはしている。
・タイモン・コルチャックLV50 …… 50歳。メイデン親衛隊長。元<銀の黎明>党員。実力は各党首より一歩及ばない程度。ある神級法具アーティファクトに認められ、絶対的な防御の術で、王族を守る。
※パトリック・マルタ・イル・メイデン …… 58歳。前メイデン王。クリスティアンの父。「堅実王」「伝統王」などの呼び名がある。クリスティアンが戴冠した後は城と政務を離れ、グラジナやヴァレリアンたちに補佐を任せて病身の治療に努めている。
・ヴァレリアン …… 59歳。執政官。パトリック政権では「メイデンの三翼」と呼ばれていた。クリスティアン政権になると多忙になり、クムーラと仕事は手分けするようになったが、甲斐なく疲弊の色はぬぐえない。
・ゴーシャ・バナハイラLV24 …… リャトー支部に所属する白竜教女司祭。とある罪人により同支部の修道女を辱められ、人身売買の組織<至上の喜び>により売られた末、自分も襲われそうになった。迅速な処罰を下した新王に敬意と謝意を示し、売られた仲間が戻った後は、短い巡礼の旅に出て信仰心を新たにした。
■真実の指輪 …… 聖浄魔法の《平和ドープ》の魔法が込められた魔法道具。この指輪を用いることにより、相手を軽い洗脳状態にすることができる。嘘が言えなくなるため、主に事の真偽を判断する際に用いられる。悪用を防ぐため、一握りの者が所持を許されている。
・ヤヌシュ・タイモン・ジェリンスカLV56 …… <赤の黎明>党首。黒髪長髪で青目、不敵な笑みの似合う端正な顔立ちの男。子供の頃に誘拐された後、狂い、幽閉されていた時期があるが、家族の熱心な看病によって完治し、その面影はない。レベルは歴代の七騎士党首の中でも下から数えた方が早いほどだが、《スキルコピー》という非常に稀なスキルを持った人物であり、同格の者にはまず負けず、格上の者相手でも勝つことはできずとも負けることはない。もっともバウナーのような血により肉体そのものの強化がされている相手には勝てない。《スキルコピー》を除いても副官程度の剣の腕はある。女貴族とよく出歩き、非常に知恵者でもある。七騎士の中で最も弱いということで、戦場にはあまり出されることがないため、党員のレベルも低い方だが、副党首のプーカと女魔導士の腕は確かとされ、また、女繋がりではあるが、ヤヌシュ自身の諜報力も買われている。素直にバウナーを慕っている一人であり、バウナー失脚に際して捜索部隊には名乗りを上げた。
・プーカ・ドゥーニンLV44 …… 29歳。<赤の黎明>の副党首。細く白い顔、流れるような美しい茶髪で、灰色目。エルフを知る者からはエルフのような女だと評されることがある。凄腕のレイピア使いであると同時に魔導士でもあり、風魔法に関しては随一とされる。また、良くも悪くも自由なヤヌシュのサポートをする博識で聡明な女性。前王からはよく呼び出されていた。呼び出しは一時期魔導教官をしていた経歴と七騎士内でも屈指の風魔導士であることからで、お手付きはされていないのだが、周囲はそう取ってはおらず、彼女が一定の敬意を集める理由でもある。かつてヤヌシュといい仲だった。
※ルチヤン・アニエラク …… 62歳。財務大臣。磊落な老人。腰を痛めていることを理由に、重要な会合には部下を向かわせている。その割には元気なので、親族やヤヌシュをはじめとする一部の親しい者からは怠け者呼ばわりをされている。
※べージリュイ …… アルバグロリアの家財製作家および工兵技師。王家や貴族に献上する家財を製作する傍ら、大砲や攻城兵器を製作する工房も営む。
■ボルコサイン城砦 …… フランツォース伯爵領南部にある城砦。国境に面し、緑の牧場路を挟み、オルフェのヴァレス砦を睨む。
※マトゥシャック家 …… ボルコサイン城砦の守備と管理を任されている武家。フランツォース旗下。
※フランツォース伯爵家 …… アマリア南部を領地とする家。領地がオルフェと近く、国境を守っている要衝である関係上、鍛冶、攻城兵器、兵士・魔導士育成など軍事方面に通じている。
※ゼロLV46 …… 白い嘴の鴉の諜報員の一人。実行部隊の中でも実力があり、《消散バニッシュ》などの魔法により姿をくらませることもできるため、重宝されている。王城に出入りしているが、元々はハリッシュ家の諜報兵であり、彼なりに忠誠心はハリッシュ家にある。バウナーの執行後、姿をくらました。
・フェルディナンド・マルクLv14 …… 53歳。こげ茶の髪、長い眉毛、やや小太り。財務官の1人。王城内では「金を数えられる豚」という不名誉な呼称がある放蕩な人物でもある。ある日、かつて鴉に痛い目に遭わされたことを知っていたグロヴァッツからなぜか勧誘を受け、白い眼の鳶の一員となる。自身が勧誘された理由はともかく、道化という役どころを聞き、ロイドとカンデルという凄腕のダークエルフ、クリスティアンとナドルニ総督司教が絡んでいると聞くと、戦々恐々ながら役割を遂行することになった。
・バラリス …… 48歳。財務官の1人で、レイダンは鳶の構成員になったことで見知った仲になる。マルクのことは内心で見下していたが、内情はどうであれグロヴァッツ伯爵から目をかけられていることにより、考えを改めた。鴉により収賄がバレ、罰としてしばらく厩舎小屋での下働きを命じられたことにより鴉を恨んでいる。
・オルギェルト …… 法務官の1人。白い眼の鳶の構成員でもある。鴉により男色であることがバレ、離婚したことを理由に鴉を恨んでいる。
・グロヴァッツ伯爵、ビエダ子爵、クロクマル子爵 …… 謁見の間から出てきた3名。両子爵は名家グロヴァッツ家旗下の名うての貴族。グロヴァッツに関しては後述。


※サロモン …… <白い嘴の鴉>通称「鴉」の諜報員。戦闘能力は低いが、学匠に認められるほど博識。元々ハリッシュ家付きの諜報員だが、現在は鴉の構成員として働いている。もっともバウナーの付き人のような立ち位置でもある。バウナーの執行後にはゼロ、アリーゴドと同じく姿をくらませた。正体については6章の幕間参照。
■白い嘴の鴉 …… 王都アルバグロリアを拠点とする諜報組織。諜報員の育成は主にハリッシュ家が行っている。元々は各国の暗部と同じく王侯貴族を守り、国を平定するため暗躍する組織だったが、年月を経て現在はその格は下がり、相応の金・代価を払うことで貴族間のいざこざを解決するような組織に成り下がった。つまり王城内では誰もが鴉により寝首をかかれる可能性があるということ。この問題はかねてからあったが、クリスティアンは戴冠後しかるべき制裁を与えることとなり、バウナーの処断、ドラクル公爵・ハリッシュ家当主の捕縛とあわせて事実上の解散となった。
・シモンLV32 …… レイダンが持つ諜報員。バウナーの調査に同行していたこともあり、執行後には殺されるか情報の秘匿を誓って王都を離れるかレイダンから迫られ、シモンは後者を選んだ。
※アラニス …… 57歳。白竜教の司祭の1人。聖職者の中でも感情的かつ実行的な人物であり、利己的な人物。バウナーおよびバウナー擁する<金の黎明>への侮蔑的態度を隠さない過激派。弁は立つが、脅迫や収賄などの自身の罪を隠すためばかりに使われてきた。レイダンにバウナーの不祥事を報告する密命を与えているが、普段の言動が災いして報告は怠られている。革命が起きた日には腐敗した聖職者の一派として仲間ともども捕えられ、後日斬首された。
・ハンゼリート …… 56歳。ミンスキー城内の建築・改築を主とする学匠。ドワーフの血があるが、微量であり、背は普通に高い。鍛冶もできるし、才能もあったが、建築の方でめきめきと頭角を現した。ドワーフの鍛冶の才能を備えていながら建築の道に進んだのは、父親が数学教師だったことが起因している。
※アンジェイ・クムーラ …… 46歳。執政官。堅実王の政権では主に王都以外の都市にて報せや王命を伝える代理官の役割だった。王が交代すると、クリスティアン政権の仕事の多さから本来やっていた遠征の任を別の者に任せ、ヴァレリアンのしていた王都内の仕事を手分けして任されることに。
※シガン …… 48歳。外交長官補佐。執政官が多忙を極めるようになったため、他都市において王命伝達・監査の仕事を任されることに。交渉の腕は元より、健康で体力もある人物。王命なので従っているが、家族と離れ離れになったので寂しい想いがある。
■ハガルシンカーLV65程度 …… 3つの頭部を持つムカデに似た大型の魔物。頭部による突進攻撃と、中心の頭部にある人型の本体による攻守ともに備えた水・氷魔法を得意とする討伐難易度バベル級の魔物。七騎士を2党投入しても返り討ちに逢い、アマリアは甚大な被害を覚悟して他国との協力も視野に入れたが、バウナーおよび金の黎明の加勢後、討伐された。以降、この戦いはバウナーの武勇伝になった。
■アトラク毒と夜露草 …… アトラク毒はゴルグの森に生息する蜘蛛の猛毒。毒を受けてすぐに解毒しなければ、解毒はほとんど不可能とされる。夜露草はタタバミという雑草が良質な魔素を浴び続けることにより変化した姿で、霊薬に匹敵する治療効果を有する。本編ではゼロがアトラク毒を用いて七星の大剣の隊長を毒殺しようとしたが、甲斐なく夜露草により治療された話がされた。
※サージ・アルハイム …… 金と爵位を餌にゼロと繋がっていたオルフェ貴族。ゼロと自身との繋がりがバレた末、アマリアに落ち延びてきた。


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