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テレサ・テンの70曲入りベストアルバム『THE POETESS 鄧麗君70週年特集 (2023)』が良かったです。


 テレサ・テンの70曲入りベスト、『THE POETESS 鄧麗君70週年特集』が良かったです。


 平成生まれの僕にとって、テレサ・テンとは、「美空ひばり」と同じくらい、”遠い昔の昭和の出来事”って感じの歌手なのですが、とはいえ、小学生の頃から、何かとテレビの「昭和の名曲」的な歌謡曲歌番組を観ると、必ず曲の演奏を見かけるような、そんな歌手の1人でした。

 そんな風に頭の片隅にずっといた存在ではあるものの、片隅すぎて普段の興味関心の通行の中では何のとっかかりも引っかかりもなく、今日まで気になることもなければ、「聴く」のスイッチが入ることもなかったテレサ・テンですが、最近ふと、「時の流れに身をまかせ」の中国語版を聴くことがありました。

 この中国語版が、普段何となく耳にし、身に染みていたあのあまりに歌謡曲感が強い日本語版と異なり、綺麗な歌声が柔らかな発音とともに爽やかに抜けていく、実に味わい深い曲だったので、これはもしかするとついにテレサ・テンを聴く時が来たのかもしれないと感じ、

・最近リリース
・曲数多い
・なんとなく各時代網羅してそう
・ジャケの公式感が強い

上記要件を全て満たす、このベストを聴いてみました。


 収録曲は年代バラバラ、日本語版/中国語版が入れ混じって、「襟裳岬」がいかにも日本語版っぽいタイトルなのに中国語版だったり、タイトルが中国語なのに日本語の曲があったり、楽曲情報は混乱していますが、その分初心者には、いろんな角度から予期せぬ弾が飛んできて、聴いていて楽しいベストでした。

 なお、サブスク/DL限定みたいな見た目ですがフィジカル盤もあり、そちらは4CD+1DVDになっているみたいです。




 収録曲はどれも素晴らしいのですが、まず1曲目の「何日君再来」から、いきなり打ちのめされます。

 ゆったりしたバックのいなたい演奏も好きですし、サビに入るところから抜けていくまでの転調の上品な感じが、J-POPではあまり聴かない、大陸的な文化的余裕のようなものを感じます。
 後ろで鳴ってる女子十二楽坊みたいな弦楽器の音もいいです。

 日本語での代表曲であろう「時の流れに身をまかせ」も、日本語のカタカタした音によって少し歌声の魅力が欠かれているように聴こえますが、こうして寄せては返す名曲の波の中で波のひとつとして聴くと、なかなか悪くなかったです。

 他には「夜来香」「Xiang Gang Zhi Ye (香港之夜)」などが良いなと思いました。

 ただ、このベスト、「時の流れに身をまかせ」のバージョン違いが3曲入っているのですが、日本語版/中国語版と、日本語版のリミックス版の3曲があって、このリミックス版が激ダサの産業廃棄物トランスになっていて危険でした。

 危険が危ない感じのリミックスになっているので、テレサ・テンに興味が無い人もこれだけでも聴いてみてほしいです。イントロがすでに犯罪的ですが、「時の流れに〜」のところを3回反復させるセンスに、僕は見境なく周囲の物を殴ってしまいそうになりました。





おわり

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