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NAPALM DEATHのライブに行ってきました。





 12/11(月)、大阪 梅田CLUB QUATTROで開催された、NAPALM DEATH JAPAN TOUR 2023に行ってきました。

 NAPALM DEATHは昔からライブに行こうと思って永遠に行けていなかったバンドの1つで、ライブがあることを知ったのは11月始めとかなり遅いタイミングだったのですが、今回逃すと次いつになるかわからないし、どこぞのLimpなんとかみたいに次回以降東京公演オンリーとかになったら多分一生行けないし・・とネガティブな事をウジウジ考えていたらいつの間にかチケットの購入が完了していました。


<ライブ会場>


 ライブ会場の梅田CLUB QUATTROには行った事が無かったのですが、梅田地下街を通り抜けて、旧泉の広場前の14番出口を出てすぐという好立地でした。立地の良いライブハウスはそれだけで荘厳に見えますね。

 CLUB QUATTROはビルの10階にあり、開場前はどこに並べばいいのか若干不安だったのですが、エレベーターを降りて左側、入口すぐ横が非常階段になっており、開場前は整理番号順に階段を下りて並んでいくというシステムでした。

 全体的に小綺麗なロビーも狭くない会場で、ロッカーが300個くらいあったのがキチンとしていて良いなと思いました。(その分ロビーの面積は圧迫されていました。)

 物販では少し話題になったユニコーン柄のTシャツが売っていました。

誰の何のセンスなのか・・


 ステージは広めで、フロアは2段構成になっており、2段目の一番前の柵が細長いテーブルみたいになっていて、ドリンクなどを置いてゆったり観れる作りになっていました。場内にはあまりメタル!な雰囲気はありませんでした。

<客層>


 正直あまり現行で大人気なバンドでは無いので、最近の若者がせっせと聴いているとは思えず、おそらく年齢層高め+コアな男性中心の客層と予想していましたが、実際は女性(淑女層)の方が思いのほか多く来場されていました。
 お友達と二人で来られているマダム的な方がチラホラいて、驚きと共に昔のメタル需要の深さと奥行きを感じました。

 また、他にも変わった方というか、メタルのライブの客層という感じじゃない雰囲気の方がチラホラいて、年齢層こそ高めで予想通りだったのですが、全然音楽に興味なさそうなサラリーマン風のおじさんから、パンクスっぽい人、刺青バキバキの人、茶髪のギャルと実に様々なタイプの人がライブに来ていました。
 メタルのライブというよりは、NAPALM DEATHのファンが集結してる、といった趣が強い客層になっていたかと思います。
 それって当たり前の事ではあるんですが、そういうコアなファン層から熱烈に愛されてる系のバンドのライブにあまり行った事がないので新鮮でした。

 バンドTシャツ着てる人がどの人も他バンドではなくキチンとNAPALM DEATHのTシャツを着ていたのも良かったです。

 その分逆に、客層の年齢層の高さ、若者のいなさから、NAPALM DEATHというバンドがコア層以外の「軽いメタルファン」みたいな人たちから気軽に聴かれるようなバンドではない、ということも読み取れ、そこは少し寂しく思いました。

 確かにNAPALM DEATHは表面上グラインドコア一辺倒に見えますが、いざアルバムを聴いていくと、1stはうるさい音の上でボーカルがワンワン言ってるだけだし、そいつ含めオリジナルメンバーはアルバム3枚持たず全員いなくなるし、残ったメンバーは時代時代に合わせて結構柔軟に音楽性を調整しながら生き残り続けているバンドなので、アルバム量といい表現の多彩さといい、なかなか「You Suffer」1曲知っているからといって、アルバム聴こう!ライブに行こう!と気軽に思えるようなバンドではないかもしれません。


<演奏メンバー>

 演奏メンバーは不変の4人で、サポートメンバーはいませんでした。
(ギターのジョン氏がサポートと言えばサポートなのかも知れませんが・・)
ギターのジョン・クック氏は毎朝ちゃんこ30杯くらい食べてそうな体型でした。





<セットリスト>


 セットリストはいい感じに「新作の曲+ベスト」な選曲でした。

 「You Suffer」(1秒の曲)と「Dead」(5秒の曲)、あとデッドケネディーズのカバーを演奏してくれました。

 曲前にバーニー氏が丁寧な解説MCをしてくれることがあり、一生懸命聞きましたが僕の崩壊した英語リスニング力では英国バーミンガム言葉はほとんど聞き取れず残念でした。

※デッドケネディーズの曲は「Nazi Punk」がどうとか言っていたので、「Nazi Punks Fuck Off!」だったと思うのですが聴いていても全然わかりませんでした。

※カバー曲はもう1曲ありましたがこれも僕の英語リスニング能力ではバンド名すら聴き取れませんでした。

<レポート>


・SWARRRM

 ライブはまず前座のバンド、SWARRRMの演奏から始まりました。演奏は30分くらいで終わりました。
 演奏はバキバキにベテラン感ありカッコ良かったですが、曲は「煮詰まって完成されているのに、外側からその表面を眺めることしかできない音楽」という感じで、何だか引用だらけで本筋が読み取れないテキストを読まされているような感じがしました。不思議ちゃん系ハードコアというか、世間ずれした感じでずーっとやり続けてると人ってこうなっていくのか・・というアティチュードを感じました。
 アルバムをたくさんリリースされているようなので、1回ちゃんとアルバムを聴いてみようと思いました。


・NAPALM DEATH

 SWARRRMの演奏後、セットチェンジは15分くらいで終わったのですが、そこから30分くらい謎の”間”があり、体感時間8億年くらい(人類始まって縄文時代終わるまでくらい)経過してから、ようやくNAPALM DEATHのライブが始まりました。

 シェーン・エンバリー氏は思ったより老けて見え、バーニー氏は30代後半に見えました。

 ライブを観ながら思ったのは、「ようやくNAPALM DEATHを観れた。」という感慨とともに、実際生で観た彼らの演奏について、どうしても感じてしまう「今が全盛期ではない感じ」というか、何か過ぎ去ってしまったものを自分たちでつかみなおそうとし続けているような、客から求められている「同じこと」をずっとプロとして繰り返し続けているような、その芸能的な繰り返しの技の集積を見せられているような少し寂しい感覚でした。

 (音響的に)自分が立っている場所が悪かったのか、今一音楽が音楽として頭に入ってくる感じがしないまま、譜面に沿って演奏され、楽器から流れてくる音を物理的に受け止めていくうちに時が過ぎたような感じがしました。味の無いパスタを食べているような感じでした。

 シェーン・エンバリー氏のベースも、ボーカルのバーニー氏の迫力もパワフルで凄かったのですが、どこか乗り切れないものが自分の中にずっとありました。

 客層も若い人が少な目なので、モッシュらしいモッシュも起きず、死ぬ程盛り上がってるか、そこまで盛り上がってないかでいうと、そこまで盛り上がってないライブでした。

 でも、聴いてる人は別に退屈しているわけではなく、皆一様に満足気ではあるいう、単純にはしゃぎたいというよりは、しみじみと7年振りの来日の時間を味わっている人が多かったような、そんな空気感のライブでした。



<総評>


 なんだかんだよかったです。(生で「You Suffer」を聴けた上に、「Dead」も聴けた為)

 客層の高齢化やNAPALM DEATH自体の高齢化、今時の若者が全然NAPALM DEATHを聴いてないんだな、という事を知ってしまったことは悲しかったですが、NAPALM DEATHを生で見るということが達成できたので、全体的には良かったです。

 帰り10階から1階へ非常階段を降りるとき、すぐ前に80年代からのファンらしい、黒いレザージャケット+ジーパンスタイルのいかにもハードコアな白人高齢男性2人組がいて、2人ともこみ上げる懐かしさをかみしめるような柔和な笑顔でライブの感想を話し合っておられたのですが、そんな2人の表情と背中にすべてが詰まっているようなライブでした。




おわり




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