反古紙を使って。
毎日稽古したり作品を書いたりするたびに増える反古紙。
捨てるには惜しく、満足することは出来ない仕上がりの反古紙は日々どんどんたまる。
反古紙とは、書きそこなうなどして不要になった紙のことである。
しかし一度魂というか、自らの気を入れて書きあげた作品は、丸めてゴミ箱に捨てることがなかなか出来ない。
何か利用出来ないか、別の作品に生まれ変わらせることはできないかと色々考えていたところ、いつも行く道具屋で一冊の本を見つけた。
反古紙を使って新しい作品を作れることを知ったのである。
そういえば、昔から和紙は丈夫な紙だということで、障子や傘に使われている。
田舎の親戚の家なんかに置かれていたみかんを入れる籠や手紙や書類なんかを入れて蓋を閉めるタイプの籠があったことを思い出した。
赤茶色の硬い籠。
調べてみると、それは和紙の上から塗られた柿渋の液体の色だったことがわかった。柿渋を上塗りすると和紙の強度がさらに上がるらしい。
ならば挑戦してみようじゃないか!と昨日早速作ってみたのである。
半紙の作品を裏打ちするときに使うのりと刷毛を利用して反古紙に塗りつけ、ザルや籠に貼り付けていく。
のりで濡れた反古紙はかなり扱いにくく苦戦したが、なんとか貼り付け終わり、あとは数日かけてのりを乾燥させるのだ。
完全に乾いたら、柿渋を上塗りする作業を行う予定である。
どんな作品に生まれ変わるか、今からワクワクする。
作品を生み出すまでに感じるこのワクワクする感情を味わうのがたまらなく好きだ。
たとえ苦しいことがあっても、自分の道は自分にしか歩めないのだから、様々な回り道や抜け道をも自分の手で書き足しながら進んで行きたいのである。
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