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ちゃっかりの切り返し。

週末は家が散らかる。

もちろん、家族が4人いるのだから仕方ないのであるが、あまりにも酷い有り様なのである。

脱いだズボンは人型のように脱ぎっぱなしになっており、食べたお菓子の空き箱はそのまま投げ置かれ、テーブルの上には一口飲んでは違うコップを使う馬鹿者たちの飲みかけのコップがズラリと並んでいる。

我が家ではこれを主にドカ弁がやらかす。従って、ドカ弁のもう一つの呼び名は『コップん』である。

いくら言っても治らないので、最終的に自分が雷を落とすしかない。

『いい加減に片付けろ‼︎』

すると、ちゃっかりはビクッとして
『は、はい‼︎』とちゃっちゃと身の回りの物を片付け始める。

ドカ弁といえば、お尻を掻きながら
『あーもう。ギャーギャーうるさいな〜。』などと更に人を苛立たせるぼやきを入れるのが決まりであり、もうイライラはMAXになるのである。

そこでとばっちりを受けるのは、すでにちゃっちゃと片付け始めているちゃっかりである。

『ちゃっかりも!これもまだ片付いてないで!これもツリーハンガーに引っ掛けておいで!』

そう言いながら脱ぎっぱなしだったドカ弁のダウンジャケットをちゃっかりに渡したのである。

するとこんな返事が返ってきた。

『あれ?それはなんだか納得できない。引っ掛けておいで!って、まるでちゃっかりが脱ぎっぱなしにしたみたいな。』

まさにちゃっかりの言うとおりだと思ったので、ハッと我に返り
『あーそうやんな。ごめんね、ちゃっかり。これお願いできるかな?』と言い直したところ、
『うん。その方が嬉しい。』とニッコリ笑って、素直にドカ弁のダウンジャケットを片付けに行ってくれたのである。

自分が感情的になっている時に我が子の理性的な言葉で我に返り、しかも
『その言い方をしてくれた方が嬉しい』などと穏やかに言われると、こちらの方が子どもじゃないかと焦ってしまった。

まさに今回のちゃっかりの切り返しは天晴れであった。

ドカ弁はこの技を未だ習得出来ていない。

きっと妹の方がダントツでモテる女子になるのは時間の問題だと複雑な親心なのである。

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