⑥ドカ弁と買い物
本日、ちゃっかりはお隣さんからお誘いを受け、林檎狩りに連れて行っていただいたので、家の中は自分とドカ弁と夫だけになった。
いつものごとくバスパンにTシャツ姿でドロドロしている寝グセ頭のドカ弁に「ドカ弁、久しぶりに一人っ子気分味わいに3人で買い物行こうよ!」と声をかけてみたのである。
中学三年にもなると、父親や母親と休日に買い物に行くことなど嫌がるものだと思うが、「うん!せやな!行こう!」と言うではないか。
そのまま玄関に向かおうとするのでさすがに止めた。
「おい!せめてジーンズに履き替えて!」
ようやく着替えも終了し、お出かけをしてみたのだ。
休日のショッピングセンターは中高生の女子、男子のグループがめちゃくちゃ多い。
ドカ弁が友達の誕生日プレゼントを買いたいと、お気に入りのお店である
ヴィレッジヴァンガードに行ったのである。
騒々しい店内のあちこちから様々なジャンルのBGMが流れてきて、狭い通路では人が譲りあわなければ互いに通り抜けできないほどの商品がディスプレイされている。
ドカ弁は友達に肩たたきも背中掻きもできるガチャピンの棒を選んでいた。
「なんでやねん!あの子は確かキティらーで可愛いもの好きちゃうん!」
「いいねん!ハンド部やで!肩が痛いんやろうからこれがええんよ!」
そんなやり取りをしながら楽しく店内を回っていたのだ。
すると近くにいた女子中学生のグループが狭い店内通路をふさいで大騒ぎしているのである。
「なんや!?うるさいなー!」
二人でぼやきながら様子を見ていると、6人の女の子たちが店の商品を手に持ち、次々に写メを撮っているのである。
「はいチーズ!!」
くまのぬいぐるみやら面白グッズを手に持ち、ポージングしてパチリパチリを繰り返し、どうやらブログやツイッターに投稿しようとしているようである。
日曜日でお客さんも多く、非常に邪魔だし迷惑をかけているにもかかわらず、いっこうにやめようとしない。
雑誌から出てきたようなおしゃれさんばかりだが、困ったもんである。
「ドカ弁、あの子らみたいなタイプの子に男子は弱いんやろ!あんなんしか追いかけへん男なんかたいしたことないで!」
「ほんまな!あーゆうのウチめっちゃ腹立つ!迷惑かけてよー!」
まるでモテない女同士の会話である。
そのとき、隣の通路から今度は中学生男子5人組の大声が。
「くっさー!!!」
どないしたんや!だれかおならでもしたんか!?
こんなありきたりでベタなことを思ったドカ弁と自分。
ところが、その場に行ってみて唖然とした。
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