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風邪。

風邪を引いたようである。

熱はないが、クシャミ鼻水連発、胃腸がなんだか不振である。

昔から体調が悪くなると、全く食欲がなくなるのがいけない。

我が家の家族は、とにかく大食いであるから、体調が悪くなろうが、熱が出ようが食べる。で、あっという間に治る。

体調が悪くなると決まって食べたくなるものがある。

それは、そうめん。

生姜とネギしか入っていない、シンプルなものである。

新婚旅行に行ったとき、バリ島で熱を出し、とにかくえらいこっちゃな状態になってしまったことがあった。

街中の薬局に行き、お腹の薬を買ってきてくれた夫と、桃屋という今はなき日本食レストランに行き、食べれそうなメニューを探した。

『何やったら食べれるかなぁ。』

心配して一生懸命メニューを探す夫に向かって、思わずこう言ったのだ。

『そうめんが食べたい。お母さんのそうめんが食べたい。』

そう言って大泣きしたのであった。

完全にホームシックである。

なんと、妹も新婚時代に体調を崩したとき、同じように母の作ったそうめんが食べたいと泣いたそうである。

半透明のガラスの大鉢に氷をいっぱい入れて、出してくれたあのそうめん。

ダメだ。思い出すだけで涙腺が緩む。

おふくろの味とは、きっとこんなもの。

特別なご馳走ではないのだ。

労わりと愛情が詰まった料理は、心を満たす。

今日は、夫が鍋を用意してくれるそうだ。

もしかしたら。
夫は体調が悪い時に作ってもらった料理は、お鍋だったのかもしれない。

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