㉑アーティストちゃっかり先生
ちゃっかりの愛する友達”ラスカル”の名は”にゃんにゃん”である。
毎日肌身離さず抱きしめているため、髭はえらいこっちゃの状態であっちゃこっちゃにひん曲がり、耳、首、しっぽと、様々な場所をおばあちゃんに手術してもらっているのである。
自分の母は、料理はイマイチであるが、裁縫ごと、編み物、お花、整理整頓の神である。
対して自分は料理は好きだが、家庭科は通知表で「2」を取ることもたびたびであったほど、ミシンとか、手芸とかが苦手である。
こういうのは得意な人にやってもらったらいいと開き直り、ちゃっかりの愛する”にゃんにゃん”や、ドカ弁の15年来の相棒の”うーちゃん”などは、全て母の「手術」によって甦っているのである。
日曜日の午後のこと。
ちゃっかりが急に裁縫箱を開けて何やらブツブツ言いながら針に糸を通している。耳を澄ましてよく聴いてみると、”にゃんにゃん”に話しかけているのである。
「にゃんにゃん、寒くなりましたね~。ちゃっかりがちゃんとしてあげますよ~。」
なんやろ、またけったいなこと始めたわ。
自分と同じことを、夫とドカ弁も感じていたようである。
しかし、夫は仕事のメールチェックなどをしており、自分も夕飯の下ごしらえなんかを始め、ドカ弁はCSシリーズに夢中でちゃっかりのやることを誰も見ていなかったのである。
15分くらい経ったころ
「できた!!」
ちゃっかりの声に皆が振り返ったのである。
これを作っていたようである。
家族全員で思わず歓声を上げたのである。
「おお!!ちゃっかり!!すごい!!これってマント!?」
そう質問すると、満面の笑みで
「そうなの。寒くなってきたからね、マントがいるでしょ!」
なんと家にあるフェルトと余った紐を使ってあっという間に”にゃんにゃん”の冬支度のマントを制作してしまったのであった。
「天才ちゃうか!ヤバイヤバイ!!」
一番興奮していたのはドカ弁であった。
ちょっとー。アレには触れんといてよー・・・。
心の声が聴こえたのだろうか。
「ママも5年生の時に作った人形があるよね!」
やはり、ちゃっかりが言い出した。
これである。
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