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ドカ弁の悲劇。

『水着を一緒に選んでくれへん?』

そうセンパイに誘われたと昨日から浮き足立っていたドカ弁。

なかなかうまい誘い文句じゃないか!
ちょっと遊び慣れた男の子なんじゃないか?

そんなことを思いつつ、キラメキだっている我が娘の嬉しそうな顔を見て、若いっていいなーとしみじみしていた。

センパイはドカ弁より一つ年上の男の子で、水泳部のエース。

モテるタイプの男の子のようである。

落ち着かないスナフキンをなだめつつ、明日はどんな服着て行くのかなぁ、可愛いバッグ貸してあげようかなぁなどと誰のデートなんやというくらい母も色めき立ってしまったのであった。

そして本日、日曜日。
梅雨の晴れ間の快晴。

私たちはお隣さんとバーベキューをするために早起きし、ドカ弁もそろそろ起こそうかというときになって、珍しくドカ弁が自ら起き、リビングに降りてきたのだ。

『おはようドカ弁!センパイと何時に待ち合わせ⁈』

『それが…。センパイから連絡あって、家族がついてくるとか言い出したから80%無理になったやって!』

『なんやてー‼︎』

思わずスナフキンとハモってしまったではないか‼︎

『フン‼︎なんや、オカンが息子の様子がおかしいの感じとって邪魔かよ‼︎』

昨日までドカ弁のデートが気になり過ぎて、夜も眠れず、明け方4時から起きていたスナフキンが怒りだした。

勝手なものである。

娘を盗られるような心情で、落ちこんでいたスナフキンと同じように、あちらのお母さんも可愛い息子を誘惑しようとする女の子の影を感じ取ったのだろうか。

それにしても。

高校2年の男の子が気になる女の子を誘うことは自然なことだと思うのは女の子持ちの母の傲慢さなのだろうか?

スナフキンとて、父親として内心穏やかでいられない気持ちをぐっと堪え、行くなとも言わず、
『そうか、頑張れよ!初デートで失敗するなよー!』
そんなふうに強がりながらも、娘の青春に口出ししていなかったのだから、私はその点を褒めてあげたい気分である。

イマドキの男の子は…などと世間ではよく聞く言葉であるが、イマドキの男の子が頼りないのではなく、ママが子離れできないというケースが影響しているのかもしれないということに、はからずも気がついてしまった本日。

ドカ弁よ。良い男の子はまだまだたくさんいる。

ママが子離れできていないような、そしてそれを撥ねつけてでもあなたに会いに行くとママに言えない男の子はあまりオススメできない。

初デートは無効になったようであるが、先にわかって良かったじゃないか。

立ち上がれ、ドカ弁‼︎


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