森のくまさん

ドカ弁がYouTubeで『森のくまさん』を聴いている。

この歌は、自分も子どもの頃から大好きな曲である。

どこが好きなのかと聞かれると説明が難しいのであるが、この歌詞にきゅんとなるのだと思う。

お嬢さん お待ちなさい
ちょっと 落とし物
白い貝殻の小さなイヤリング

『白い貝殻のイヤリングっていいなぁ。欲しいなぁ。』

この歌詞を聴くたびに毎回そう思っていた。

夏に両親の実家の故郷である淡路島の海に行くたびに、砂浜にしゃがみ込み、白い小さな貝殻ばかり探していた。

『なぁなぁ、お母さん！この貝殻でイヤリングって出来る？』

そう母に尋ね、この質問に対して母は決まってこう返事をしてくれていた。

『出来ると思うよ！角が綺麗に削られた透き通ったピカピカの貝殻をいっぱい探して集めておいたら？』と。

結局、たくさん集めた貝殻は今はもう失くしてしまったのであるが、かなり大量の貝殻を集めていたから、あれが今もあればなぁと残念に思う。

子どもの頃を振り返ると、母は昔から決まってこんなふうに言ってくれていた。

『出来る出来る‼︎』
『すごい！すごい！』
『偉かったなぁ！』

なんにせよ、出来る出来る‼︎と前向きな言葉かけをしてくれていたことは、とてもよく覚えている。

しかし白い貝殻の小さなイヤリングはついぞ完成しなかったのである。

白い貝殻のイヤリングが完成しなかったから、この歌詞を聴くときゅんとするのか、若かりし頃の母の『出来る出来る‼︎』という、あの自信に溢れた励ましを思い出すからなのかはわからないが、どちらにしても、幼き頃の楽しみを思い出すのである。