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それぞれのカレー。

昨日はスナフキンがカレーを作ってくれた。

私とは違う丁寧な作り方のカレー。

玉ねぎは小さく綺麗にみじん切りし、飴色もどきではなく、本当に飴色になるまでじっくり炒める。

じゃがいもや人参は大きな乱切りし、これもまたフライパンで丁寧に炒める。

そして水は使わずトマト缶と酒で煮込む。隠し味の決め手はスナフキン特製のサンバルである。

複数のスパイスも足してじっくりゆっくり鍋を回しながら美味しいカレーを仕上げていく。

その姿を見ていると、遠い昔を思い出す。

大きな背中を丸めながら、一生懸命野菜を刻み、恋人にカレーを作る姿。

その後ろ姿を見ながら呑気にワインなんか飲みながら好きな本を読んでいた私。

初めてスナフキンに手料理をご馳走になった時もカレーだった。

この頃はジャマイカの激辛スパイス「スコッチボネット」が入った今より10倍は辛い激辛カレーに凝っていた。

お酒のアテにはジャークチキンを焼いてくれたり。

サラダはさっぱり味が好きな私のために、豆腐サラダのポン酢仕立て。

時は流れ、スナフキンと私はドカ弁のパパとママになった。

相変わらず、カレーの担当はスナフキンだったが、小さなドカ弁に激辛カレーは食べさせられない。

激辛スパイス「スコッチボネット」はやめ、今のサンバルバージョンのカレーになった。

それでもまだ小さな子どもには辛すぎるカレー。

辛いカレーに、ヨーグルトや牛乳を入れて食べさせてみた。

これにドカ弁がハマったのだ。
辛いカレーを
「おーいしいねっ!おいしおいし!」と絶賛しながら今と変わらず3杯おかわりして食べるようになった。

昨日の晩御飯のカレーをスナフキンが作り始めると。

早く食べたい!と急かし、おかわりして美味しい美味しい‼︎と喜んだのはやはりドカ弁だった。

ドカ弁にとってのカレーは、やはりこれ。おふくろの味ならぬ、パパの味。

私にとっては、恋人が作ってくれていた懐かしいカレーの味。

ただ一人、このカレーではなく、私の作るカレーを恋しがるのは、ちゃっかりだけ。

それぞれのカレーの味。

香りも味も、作るその人の姿を見ていればこそ、記憶と味覚が混ざり合う。

極上の隠し味とは?

作り手の愛と、食べる側の感謝の気持ちに尽きる。

いただきます。
ごちそうさま。
ありがとう。

美味しいカレーを食べたいなら、忘れてはならない大切な言葉なのだ。


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