みんなで集まって。

先日、ドカ弁がクラスメートと集まって行うクリスマス会に行ってきた。

その日は夕方まで塾で、約束の時間が6時だったので、たぶん少し遅くなるだろうと親の携帯を持たせて行かせたのだ。

そう。ドカ弁は携帯を持っていない。
いまどき珍しいかもしれないが、高校生になったら許可することを我が家では守らせてきた。

必要なら親の携帯を利用すればいいし、iPadを持っていれば好きに色々利用できる。
LINEのためにだけ携帯を持つ必要はないと思っている。

クリスマス会当日、夫の携帯を持って出かけたドカ弁から、自分のLINEに連絡が入った。

ーつまらんからもう帰りたい。
ー仲良しの友達と三人で抜け出した。
ー今、アニメイト。
ー電車乗った。お迎えヨロ。

こんな内容のメッセージが何度かあり、夫が駅まで迎えに行き、帰宅した。

『おかえり！オモロなかったん？』
そう軽く尋ねてみた。

『グタグタな！色々幹事が盛り上げようとすんねんけどさー。みんな携帯しか見てないから全然盛り上がらんしな！』

『集まって携帯かよ！なんでやねん！』

『知らんわ。ゲームやっとる奴、LINEやっとる奴、Twitterやっとる奴、色々必死な！』

『何に必死やねん？』
こう質問すると、iPadを差し出すドカ弁。

見るとそこには。

3年○組 仲良し‼︎
みんな楽しんでる！
めっちゃ仲良いクラス‼︎○組最高♡♡

ズラリと並ぶ写真、Twitterの嵐。
ご丁寧に集合写真まである。

『顔出し全開やん‼︎なんやこれは！』

呆気に取られる自分にドカ弁が答えた。

『ほんまな！集合写真は通りすがりのおっちゃんが撮ったろ！って写してくれたやつ。これやるために集まって、みんなが投稿に必死やったみたいやわ。アホらし！』

これは一体なんやねん。
目の前の人間と繋がることよりも、繋がりがある自分をその場にいない誰かに伝えることが最優先事項だというわけか。

なんて淋しいんだろうか。
仲間との会話より、充実していると自分だと思われたい、そう思ってほしい気持ちを皆が持っているようだ。

こんなにたくさんの人間が集まって、まともに会話しない時間を共有して、本当に楽しいのだろうか？満たされるのだろうか？

翌日学校から帰宅したドカ弁が言った。

『''○組めっちゃ仲良いんやな〜！ウチらのクラスは全然盛り上がらんかったのに！楽しい楽しいっていうツイートや写真バンバンLINEやTwitterで見たで〜！めっちゃ羨ましい！”やってさ！ケッ』

結局そういうことだ。
誰かに羨ましい！と言ってもらうために会話もまともに成立しない集まりを開催しているわけだ。

学校は携帯が禁止だから、何とか授業や部活がかろうじて成立しているのだろうと思う。そうでなければ、この有り様では教育のしようがない。

本当に思い出に残るのは、こんな薄っぺらい虚栄心の投稿ではなく、自分を友が受け入れてくれ、共に悩んだり、喜んだり、励まし合ったりしたリアルなものだけだろう。

現代の中学生はある意味可哀想すぎる。