フードコート。
本日はお年玉をたんまり蓄えたドカ弁とちゃっかりにせがまれ、家族揃って大型スーパーの初売りに行ってきた。
タイミングよく、お気に入りのショップがタイムセールをやっていて、思わず衝動買い。
レジには長い行列ができ、ちゃっかりと交代しながら列に並びつつ商品を物色し、お互いに可愛い可愛いと言いながら買い物を楽しんだのである。
若くて可愛いショップのお姉さんが声を枯らしながらタイムセールを知らせ、長い行列で待つお客にはレジがスムーズに行くよう、別のお姉さんが一人一人に声をかけて丁寧に商品のサイズに間違いはないか、何点のお買い上げかなどを確認し、商品を先にレジに運んでくれたので長いレジの行列にもストレスを感じず、スムーズに買い物を済ますことができた。
さすが人気のあるお店の従業員の教育は素晴らしいなぁと感心したのである。
皆がそれぞれ目当ての買い物を済ませ、さぁそろそろ帰ろうかと言ったところ、ドカ弁とちゃっかりがどうしてもクレープが食べたいと言い出した。
正月の大型スーパーは車を駐車場に入れるのも出すのも大渋滞しているほどの混みようだったので、フードコートもさぞかし混み合っているんちがうかと思ったが、とりあえず行ってみることにした。
ところが、混雑しているはずの店内の一角にあるフードコートに行ってみると、そこだけがガランと空いているのである。
『あれ?めっちゃ空いてるやん。好きなやつ選び!』
こう言ってクレープ屋の前に並んだ商品の写真の前に立ったのである。
『ウチはイチゴクリームチョコ!』
『ちゃっかりはクリームチョコ!』
姉妹はそれぞれのクレープを選んだので、そしたらと自分が会計をしに店のレジへ向かったのである。
『すみません。4番と14番を…』
クレープの番号を言いかけた自分を遮るように若い店員が顔を歪め、面倒くさそうな声で下を向きながらこう言ったのである。
『レジはこっちです!』
L字型のカウンターの狭い店である。
レジはそのL字の角にあり、声をかけた位置からほんの50cmの距離である。
クレープのディスプレイはL字のカウンターを全て覆いつくすように置かれており、どこから注文しても同じではないか!
客は自分たちだけ。
狭い店内には4人も店員が突っ立っているのだ。一人が注文を聞いて、一人がレジを打ち、一人がクレープを作っても丸々一人は余るほど人手は余っているのである。
思わず心の声が出てしまった。
『態度悪いな〜!』
言われたその子はハッとしたように目をキョロキョロさせ、ヤバイと思ったのか突然声音を変え、
『レシートは御入用ですか?』と聞いてきた。
思わず『いらん!』と言ってしまった。
そのやり取りを見ていた残りの3人の店員もヤバイと感じたようで、クレープが出来上がるまで待つ間に、その子をレジから下げさせ、3人で接客を始めたのである。
高校生のアルバイトと思われるその店員を3人のパートのおばちゃんの判断でレジから避難させたようであるが、まるでこちらがクレーマーのような扱いをされたようで気分は最悪であった。
自分も高校生の頃、フードコートでアルバイトしたことがあった。
その当時のパートのおばちゃんたちは、めっちゃ怖くて口うるさくて、たまらんなぁと思っていたが、若い子を叱ったり注意したりするぶん、お客さんに対してはきちんとした対応をしていたので、自分たちもそこは認めていたものであった。
若い子が間違ったらきちんと叱ってくれる大人だったのだと思う。
昔のフードコートは本当に人がいっぱいで、待ちきれないお客さんから番号札を投げつけられたりして怒鳴られることなんてしょっちゅうだった。
こんなに閑散としているフードコート。
店員ばかりで客がいなければ、客に対しての接客スキルも磨かれる場がないのかもしれない。
それにしても昔の人の言うことを守れて良かった。文句ゆーたろか!と思った時、亡くなった祖母がいつも言っていた言葉が頭をよぎったのだ。
『正月には喧嘩はせんものや!年の初めに人と揉めたら一年間ずっと上手くいかんもんやから!』
危機一髪であった。
ありがとう、おばあちゃん。
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