⑤ちゃっかりの秘密
本日はちゃっかりの小学校の運動会であった。
朝から一日中バタバタしていて大騒動な一日であったが、気持ちの良い秋空に恵まれ、無事運動会は終了したのであった。
ちゃっかりは、運動が好きではない。
ドカ弁の対極をいくオシャレ女子街道まっしぐらなのである。
ドカ弁は何でも前のめりでやりたがり、当然騎馬戦の馬になることなど考えてはおらず、騎馬の上に乗って相手をいわしたるわー!と拳を掲げたり、応援団に立候補し、長いはっぴなどを着て旗を振りまわすことに夢中な小学生であった。
対してちゃっかりは、こういうのだ。
「騎馬戦の上になんか乗りたくないの。怖いの。応援団?全力で声を出したら喉が痛くなるし疲れるの。だからやらない。」
しかし、いざ本番が近付くと必ず体調不良を起こしたり、トラブルに巻き込まれる空回り体質なドカ弁にくらべ、ちゃっかりは、嫌がっているにも関わらず何かと器用にこなすのである。
騎馬戦の上に乗ることをあれほど嫌がっていたのにも関わらず、
「決まった子ばかりが出るのはやめましょう。皆で参加しましょう。」
先生からこんなお達しが出て、本日本番で騎馬の上の人になっていたのだ。しれっと参加して怪我をすることもなく、そつなくこなしていたのであった。
また、準備係なるものになり、先生の横のテント席に座り、あまり大した手伝いをすることもなく、日焼けせずにすむ風通しのよい場所で快適に一日を過ごしていたようである。
どろどろに汚れた体操服や巾着袋を洗おうとちゃっかりの荷物を開けてみるとなんとこんなものが出てきたのである。
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