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出張雲泉堂 by unimam

本日は、大阪の昭和風貸しスタジオに行ってきた。

夫が知り合いの方に、自分の嫁がnoteというSNSで、和食レシピや書の販売をしていることを話したところ、noteを覗いてくれていたそうで、

「ぜひ、書道家雲泉さんの書を見せて頂き、料理を食べてみたい!」とのこと。

「大阪にあるテレビなどで使われている昭和風家屋の貸しスタジオを予約したので、ぜひ雲泉さんの書の作品を持って来ていただき、お料理を作っていただきたい。ついては報酬もお支払いする。」といったことを夫からかいつまんで聞かされ、ひっくり返りそうになった。

「は?無理無理!書道だけならともかく出張料理⁈絶対無理!」

「いやいや、行って作るのは無理って言っといた!家で作ってならなんとかなるとは言ってもた。」

なんてーーーー!!!

まったくうちの夫の自由ぶりというのもかなりのものである。

結局、5人分のお客様のお料理を自宅で作って持っていくことになったのだ。

「好き嫌いとかわからんやん!魚は無理とか、匂いのきつい食材はあかんとか好みがあるやろ?どうすんの?」

メニューをあれこれ考えながら夫に尋ねた。

「あぁ、そんなこと言う年齢の人たちじゃないから大丈夫!ひとりイラン人のお客さんがおるけど!」

「なんて!?イラン人?イランってイスラム教ちゃうん!ムスリムの人って豚肉あかんとか酒はあかんとかあるんちゃうん!?」

こう心配する自分に夫は呑気に答えた。

「あ、大丈夫!奥さんが日本の人らしいから!」

おいおい、奥さんが日本人やからって何を根拠に大丈夫やねん!スナフキンめ!

とにもかくにもメニュー作りに悩みに悩み、結局普段作り慣れたものをセレクトしてお献立を作ったのである。

鯛の刺身、ローストビーフ、なます、マカロニサラダ、たこめし、煮しめ、つくね等々。まるで一足早いお正月のようなメニューであるが、和食を召し上がっていただくためにこんなお料理を作ってみたのである。

イラン人のハザビさん。
とても日本語が上手できちんとお箸を持ち、正座をしている姿もサマになっておられる。

煮しめに釘付けになってくれる姿がとても嬉しい。

そしてものすごく食べ方が美しいのである。
刺身は青紫蘇に巻いて美味しそうに食べたり、小鉢のなますを上品に食べる。
何と言っても驚いたのが、たこめしをものすごく気に入ってくださり、おかわりまでしてペロリと食べてくださったのであった。

たこめしの美味しさを褒めてくださり、どうやって作っているのかと質問された。

「お酒とお醤油、みりんに干しだこをカットしたものを漬けておいて、柔らかくして米に入れて出汁で炊くんです。」

こう返事をしたところ、

「あ、酒が入っているんですね!みりんにも酒が!」

「あーそうでしたね�‥。お酒・・・。」

しまった!イスラム教徒はお酒がNGやった!

焦る自分にハザビさんは笑顔でこうおっしゃった。

「あーでもねーご飯炊くと酒は蒸発しますね!」

優しいフォローを入れてくださったのであった。

異文化の�食事情ってほんま大変やわーと実感したのである。

ハザビさんは日本のお客様をイスラム諸国にご案内する旅行会社に勤務しておられるそうだ。

日本へのムスリム旅行者のコーディネートもされているそうで、先日イラン人を40人京都に連れて行ったそうである。戒律上の制限があるためにご飯を食べる場所に困り、結局トルコ料理に連れて行ったそうである。

「日本の料理の美味しさ、素材の新鮮さを、日頃スパイスまみれの料理しか食べたことがない人たちにもぜひ食べてもらいたい。」

こうおっしゃっておられた。

イランの若い人達には、日本の漢字が人気があるそうだ。


車に「一番」などという漢字のレタリングを貼り付けている人も結構いるそうである。

今月23日にイランに里帰りするそうで、イランに雲泉の書を何点か持ち帰って向こうのお店に紹介してみようかとおっしゃってくださったのでお願いしようと思っている。

「日本の漢字、イラン人に需要あります!かっこいいという感じ?」

ありがとうございます!漢字を感じ?で〆てくださるその語学力に関心しきりのunimamであった。

日本に来られるムスリムの旅行者にもおもてなしの和食、書道は需要があるのだろうか。おもてなしの心でお迎えできればこんな嬉しいことはない。

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