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愛の形。

週末は友チョコ交換に忙しく、お昼ごはんを食べてすぐに友達と遊びに出掛けたちゃっかり。

それに引き換え、手持ち無沙汰な様子のドカ弁。

バレンタイン当日は、地元公立高校の推薦入試があり、友チョコなどという余裕のある友人もいないようで、今年のバレンタインはちょっぴり寂しそうである。

ならばと、買い物に誘ったのであった。

2人でビレッジバンガードに行き、面白いものばかり見て回ったのであるが、とりあえず、スナフキンとおじいちゃんのチョコを買おうということになり、1番大きな400gの板チョコを選んだ。

『絶対コレやな!』
『じゃ、ママはスナフキンに手袋買うわ!』

あっという間に買い物も修了し、店を出たのであるが、何故かおもちゃ売り場にドカ弁が釘付けになった。

じーっと一つのぬいぐるみを見つめているのだった。

白いうさぎのぬいぐるみである。

『何?欲しいの?』
『いや、高いし。ウチにはうーたんがおるから、新しいの買ったらうーたんが寂しがるやろ?』

うーたんとは、ドカ弁が2歳の頃からずっと肌身離さず大切にしているうさぎのぬいぐるみである。

痩せて、随分お年寄りになったが、今でもドカ弁の相棒である。

『いいやん。うーたんの新しい友達にすれば。買ってあげるわ!』

『えっ!いいの⁉︎ほんまに⁉︎』

ドカ弁はあまり物を欲しがらない。
物欲番長のちゃっかりとは正反対である。今日はバレンタイン。ドカ弁へのプレゼントにしてあげようと思ったのであった。

誕生日でもない、なんのご褒美でもない、そんな日の贈り物は縁があって手にし、愛をのせて贈られるものだと思う。

『ほんまにありがとうママ!』
小さな頃のようにはしゃいで喜ぶドカ弁を愛しいと思った。

そんな幸せを噛みしめながらふと目をやると、自分と同世代の夫婦がニット帽を選んでいる姿が目に入ってきた。

少し疲れた感じのお父さんの頭に奥さんが背伸びしてニット帽を被せてあげていた。

旦那さんのかけているメガネがニット帽に押されてずり落ちた。

それを奥さんが『あらあら!』と言いながら直してあげたのである。

旦那さんは苦笑いしながらもすごく幸せそうな笑顔を見せた。

あぁ、色んな愛があちこちに溢れているなぁとこちらが幸せな気持ちになった今年のバレンタインデーであった。

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