白いごはん。
『白いごはんとシャケがあればいいの!』
そう言って3杯のごはんをマシマシ食べるのは、ちゃっかりである。
炊き込みごはん、炒飯、ちらし寿司。
どれも米がありきで出来る料理であるが、ちゃっかりは断トツ1位で白いごはんが好きなのだそうだ。
塩むすびだけでテンションが上がる小学生って、今どのくらいの割合でいるのだろうか?
『うちの子あんまり食べなくて…。』
そんな声をよく聞くのであるが、我が家は毎日米5合〜6合は炊くのだ。
年間の米の消費量は220キロである。
ちょっと雑炊が食べたいの。
おにぎり作ってって言ったら怒る?
今日の給食美味しくなかったからお腹空いてるの。ごはん食べていい?
筋金入りのごはん信者なのである。
そんなちゃっかりを見て、母が言った。
『ちゃっかりってあんたの小さな時にそっくりやね。ごはんごはんって3杯食べてた。2杯食べて、最後の一杯は熱い緑茶でお茶漬けするのが決まりやったね。』
そう言われて小さな頃の習慣を思い出した。
お茶漬けは、お茶漬けの素は使わず、熱い緑茶でシンプルに。
壬生菜、かぶら、白瓜、白菜、母が作ったいりこと硬い昆布を炊いた佃煮なんかをおともにサラサラとお茶漬けを食べるのが楽しみだった。
そうだ。
大人になって、お酒を飲むようになり、このごはん2杯と最後のお茶漬けの習慣は無くなり、すっかり忘れていた。
実家のお膳には、いつも色とりどりのお漬け物がズラリと並んでいた。
壬生菜はかつお節、かぶらは白胡麻、白瓜には生姜、白菜にはすだちとそれぞれのお漬け物に合う組み合わせまで決まっていたっけ。
ある時祖母が、かぶらに白胡麻、醤油、ほんのちょっとの味の素をかけてお箸で混ぜたものを作ってくれたのだ。
『これ食べてみ!美味しくて顎が落ちるから!』
初めて食べた時の味まで蘇ってきた。
色とりどりのお漬け物に白いごはん、そして緑が濃い一番茶。
なんてシンプルで贅沢な食事だったのだろう。
白いごはん信者のちゃっかりに負けず劣らず、白いごはんを愛していた頃を忘れていたなんて。
そうだ。
周りの大人たちがいつも、お酒の後には少しでもごはんを体に入れないと毒だ、酒ばかりではあかん!と互いに言い合っていたことまで思い出した。
お酒よりも白いごはんが好きな頃が私にもあったのだ。
そんなことをつらつらと思い出しながらこんな文を書いていたら、なんだか猛烈にお腹がすいてきた。
しかし、ごはんを夜中に食べたらデブになる。
仕方ない。
白いごはんは朝になるまで我慢。
熱い緑茶を一杯やって、そろそろ床につくことにしよう。
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