詩ことばの森(216)「ハイビスカスの家」
ハイビスカスの家
ようやく涼しい風が
吹くようになった
ハイビスカスの花弁も
どこかさみしげに揺れている
花の咲く家は
一人暮らす老女の面影
ひっそりとしてもの音のしない家には
昔は母堂がおられたが
昔は尊父もおられたが
今では静かな古い記憶ばかり
夜半に降り出した雨は
老女の家に降りそそぎ
ハイビスカスの花を
すっかり湿らせてしまう
(森雪拾)
ハイビスカスの家
ようやく涼しい風が
吹くようになった
ハイビスカスの花弁も
どこかさみしげに揺れている
花の咲く家は
一人暮らす老女の面影
ひっそりとしてもの音のしない家には
昔は母堂がおられたが
昔は尊父もおられたが
今では静かな古い記憶ばかり
夜半に降り出した雨は
老女の家に降りそそぎ
ハイビスカスの花を
すっかり湿らせてしまう
(森雪拾)