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詩ことばの森(189)「夏の駅」

夏の駅

あの日   きみは
駅に送りに来てくれた

ほとんど人のいない
ホームで   ぼくは
なにを語っただろう

夏雲は白くてまぶしく
木々の緑が風にゆれていた
短い時間のなかで
おぼえているのは
それだけだった

きみが   ぼくに
なにを語ったか
今は   もう
忘れてしまったけど

小さな駅の
夏の景色だけは
一枚の絵のように
なぜか   おぼえている

(森雪拾)

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