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詩ことばの森(237)「野焼きの里」

野焼きの里

子どもの頃
山間の祖父母の家に行くと
よく野焼きを目にした

夕暮れ時   畑のうえを煙が立ち込めて
西日の空を霧にように覆う景色は
どこか厳かで神妙な気持ちになった

そこは子どもが立ち入れない世界
時折   祖父たち村の人々の影が
見えたり隠れたりして
そこに行きたくても行けない世界

今では珍しくなった野焼きの光景を
旅先などで目にすると
そんな子どもの情景を思い出すのである

(森雪拾)

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