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詩ことばの森⑮「遠い空」

山路を歩いても歩いても
だんだんと陽が傾きかけてきて心細かった

汗をかきながら 必死に歩く
蝉の声を背中できき
水の流れる音もきこえるが
どこで流れているのか  よくわからない

道端に腰をおろして  水筒の水を飲んでいたときに 
遠くにみえた雲と  沈みかけた陽がとてもきれいで
「もう少しだ、がんばれ」
と背中を押してくれているように感じ
元気をもらったのをおぼえている

そのときの想いを詩に託してみました

遠い空

空は遠ければとおいほどに
わたしにはなつかしい
足のうらに刻んだ時間のぶんだけ
夕ぐれは暗いうちにも華やんでみえた

痛いほどに歩きつづけた道の途中で
さえない色の朝は居場所をみつけた
動物の息づかいを感じさせる
けれどもわたしの知っていた町の空とは
いつもどこかちがっていた

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