詩ことばの森(232)「ある予感」
ある予感
この部屋を
今日からは忘れなければならない
誓いにふさわしい青空だ
わたしの意志を後ろから
後押ししてくれるようだ
夏の焼け跡に咲いた花の
思い出を描いて
わたしの部屋に飾った日
あなたは椅子に座りながら
ノートにことばを書きつづけていた
それらのことばが
あの日のわたしとあなたに
なにを意味していたのか
なぜ あの時
そのことを知ろうとしなかったのか
問わなかった あるいは
問う必要がなかったのかもしれない
いつかは あなたは旅立ち
わたしもまた 去るであろう日を
予感していたとしたら
(森雪拾)