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詩ことばの森(233)「ある日 河童が」

ある日   河童が

ある日   川辺りの道を歩いていたら
一匹の河童があらわれた
芥川の小説みたいに
なにかしゃべるのだろう
と期待していたが
河童は僕の顔をチラと見たきり
川に飛び込んでしまった

しばらくすると
別の河童があらわれた
こんどこそ何かしゃべるにちがいない
と思っていたが
河童は僕を見ることもせず
やはり川に飛び込んだ

河童も人生も
思うようにいかないものだ
とつぶやき残して
僕は川沿いの道を去った

(森雪拾)

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