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詩ことばの森 森 雪拾(もり ゆきひろ)

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複雑で変化の激しい時代ゆえに 優しさと癒やしの詩の世界を伝えていければと思います
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2024年4月の記事一覧

詩ことばの森(153)「薔薇の庭」

薔薇の庭 古い石の椅子に やわらかな午後の光が 落ちている森 長い沈黙に耐えてきた 苔むした…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
59

詩ことばの森(152)「森を歩く」

森を歩く こもれびの道を 僕は歩いていた 森を抜けると 湖へと着くはずだった 四月だという…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
55

詩ことばの森(151)「残照」

残照 川辺りに広がる夕空を 渡ってゆく鳥の飛翔よ 無言のうちに 秘められた残照が わたしの心…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
51

詩ことばの森(150)「眠れぬ森」

眠れぬ森 眠れぬ森に 夜が訪れる 花は白く 物思いにふける 森をさまよう影は あたかも 体の…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
46

詩ことばの森(149)「天駆ける星」

天駆ける星 暗闇の窓を光がかすめる かつての栄光の者は消え去り 眩い堕天使たちが 綺羅びや…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
53

詩ことばの森(148)「青い服」

青い服 僕の声は 届くことのない闇を 魂が苦い顔で 森の縁を彷徨う 青い服のきみは 優…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
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詩ことばの森(147)「孤独な者たち」

孤独な者たち 天使と悪魔の棲んでいる森に 剥き出しになった土の乾き 古えの館の地を 今もさまよう人びとの影 真昼の黒い沈黙のうちで 風ばかりが静かにあふれる 深い森の縁に立ち尽くす 孤独な者たち 畏怖に似た時が 広がっていく あの日 空はあまりにも青く 鳥影は まぶしい光に吸い込まれていった 滅びののちに 生れるもののあることを 最後の希望と信じていた 君の瞼に燈される 夕日 (森雪拾)

詩ことばの森(146)「古い日記帳を繰るように」

(古い日記帳を繰るように) 古い日記帳を繰るように 小さな花びらの一枚一枚を 指先に触れてみ…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
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詩ことばの森(145)「渇いた街」

渇いた街 灰色の墓標が 少年の眼に映じた日 頭上には青空のカケラも 残ってはいなかった 栄…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
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詩ことばの森(144)「終わりの日に」

終わりの日に 終わりの日に 森影は枝葉をのばして 何もつかめずにいる 虚空以外には 公園に…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
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詩ことばの森(143)「不在の過日」

不在の過日 町は沈んだまま 街路樹の通りを 僕はどうしようもない 影とともにある 点滅する…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
54

詩ことばの森(142)「初めての友」

初めての友 はなやかではないけど 美しいと感じるもの 目立たず人の目にふれぬもの それでい…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
67

詩ことばの森(141)「春の光」

春の光 春の嵐が 木々をゆらし 花びら散りつつ 君の肩に 軽やかな音を 微かに立てながら ま…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
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詩ことばの森(140)「春爛漫」

春爛漫 すべてが淡く透きとおる水 こんこんと あふれだす脳のしわから  春の匂いがする 笛や太鼓を鳴らしながら踊る 子どもになった母の歌声 すべては真昼のできごと 闇はない 老人たちを乗せた バスが坂をのぼっていく (森雪拾)