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とりとめのないまま とりとめのない自分が とりとめのない気持ちのまま とりとめのない道を …
花の守人 花の心を知る人 花に寄り添い 守り育む人 自然は自然のまま と思うけど 自然は守る…
悩みの石仏 もうずいぶんと長い間 悩みつづけていました 晴れの日も 雨の日も いつのまに…
冬空にひときわ 冬空にひときわ 梅の花があざやかに見える 一瞬 いやなことも忘れて 僕は救…
夏の波音 目を閉じると 聞こえてくる 夏の島を訪ねた日 波の音が耳に残っている あれは幻だ…
竹の音 風が吹くと 竹林から音がする かわいた空洞の響きだ 僕は立ち止まる この風と響きの…
高原の駅で きみと出かけたのは 夏も終わりのころだった 高原の駅に 降りる人は少なくて ホームでふたり 列車を待っていた きみは 目を輝かせながら 会話に夢中だった ぼくは草木が 風に揺れるのを 不思議な思いで みつめていた あのときのことは 絵に描けそうだけど 言葉にはなぜかできない 今では 駅も風景も変ってしまったろう ぼくの思い出のアルバムには きみの微笑みだけが 残っている気がする (森雪拾)
スニカーを買う めずらしくスニーカーを買った かたい黒革の靴しか持っていなくて 旅行に行く…
水系の家 むかし 僕は この町で生まれた 家は川のそばにあって 水の流れる音がいつも聞こえ…
木に思う 冬空に向かって 木はなにかを摑もうとしている それは虚空なのだろうか それとも幻…
冬の土を思う 冬の土を見てると 秘められたなにかが ありそうに思う 冷たい土に 冬の日差し…
冬のポケット 僕はポケットに手を入れたまま 丘の上から街を眺めていた 心のありかを確かめる…
石の心 石を見ていたら 誰かの声が聞こえた 振り返ると そこには誰もいない 僕の目の前には …
春の夢 道ばたで咲く 冬の花に 心が安らぐのは 人ばかりではない 花弁のなかで 憩う小さな虫が 冷えた羽を 休ませている 僕も虫になって 凍えそうな気持ちを 折りたたんで 温かい花のうえに乗せよう 遠い春の匂いを たしかめながら 心は夢のうちを 羽ばたいていくようだ (森雪拾)