家に帰ろう

3.11…突然襲った大地震は地面を隆起させた。余震も長く続いた。電気も止まったり、水道も止まってしまった。
こんな時なのに俺はスマートフォンの電源が切れてしまっていた。全く情けない。彼女はカンカンだろうな。
取り敢えず職場は一旦閉めることになった。家に戻れという命令だった。

街中のケーキ屋では電気が入らなくなったので、ケーキを安く売っていた。少しでも無駄にならないようにということであった。「よし、迷惑かけたからケーキを買って帰ろうかな。」

家に戻ると彼女は案の定怒っていた。
「ねぇ!心配したんだよ。電話に出なくて、私……」怒りの表情が段々と涙に変わっていた。

「ごめんなこんな時にも充電を切らしてしまう俺で。家の中は危ないから外でケーキを食べよう。」

ケーキを食べた後、避難所で避難することにした。多くの人達がそこに集まっていた。冷えたおにぎりでもみんなで食べればなんか暖かい感じがした。夜になって外に出て星空を見上げるとこんなにも綺麗だったのかと思う星空だった。流れ星が何か悲しげに見えたよ。どこが震源地かもまだ分からなかった。

「美佳、色々なことがあったけどこうして一緒にいる事の有難みを知ることが出来たよ。俺はお前のこと愛してる。」外には2人以外は居ない。聞かれていたら恥ずかしいな。

電気が復旧した後にテレビを見てみるとそこには波に飲み込まれる街や行方不明者を探す親戚の人達、その様子を見ると胸が痛くなってきた。


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