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思い立って、また鞄を縫った。

「革を縫う」ということを始めて数年。
どうしたわけか、年末年始やゴールデンウィーク等の「長めの休み」になると出かけることもせず家に籠もって何かしら縫ってた事が多い。

結果、鞄のたぐいだけでも

  • わけがわからないまま縫ってみたトート

  • 単に金具が使いたかっただけの何も入らないレトルト形状のサコッシュ

  • 少しだけ分かって縫ったサコッシュとショルダの間みたいなやつ

  • 普段の外出に使ってる、形見の鍵がついたショルダ

  • 通勤に使っていた、形見の鍵がついた直線縫いだけで構成されたリュック

  • A3が横に入る巨大な手提げ

  • A4が縦に入る手提げ

  • 父の日・母の日にそれぞれ要求されたショルダ

  • 妹に送った、形見の鍵がついた直線縫いだけで構成された一周り小さいリュック

  • 妻に頼まれたキングギドラっぽい型押しのでかいトート

  • 籠とも笊ともつかないものに革を縫い付けて作ったバッグ

と、まぁ、この3年ほどの間に縫ってきた。

いや、そんなに鞄いらんやろ

実際、要らん。
とはいえ、姫路までちょくちょく革を買いに行っていたこともあって、使い切れていない半裁が数枚。
特に、ヌメ革ではない、おそらくはコンビ鞣し?に塗装したものがそこそこ残っていて、自分が作る小物にはいまいち使えないことから、この際だし使い切ってしまおうという事で型紙作成開始。

4月28日、断裁

型紙を引くにあたっては、仕上がりサイズに縫い代を考慮してある程度計算してはいるものの、別に型作りや縫製の勉強をしたわけではなく。
とりあえず思いついた時に「こんなんつくれるんちゃうん?」とラフを描いているモレスキンを参照しつつ描く。そして間違う。
最後に、いつものように百均の工作用紙にゴリゴリと線を引いては切り、その後立ちクリップで革に固定して断裁。
乱視&集中力不足&生来の不器用で「直線を直線にできない」のだけど、立ちクリップを使うことで誤差の範囲を小さくできるようになった。
立ちクリップ、これはほんとに買ってよかった。

切っただけ

で、簡単そうなところから

今回の鞄はこれまで作ってきたものと違って

  • 内縫い

  • ファスナ×3の縫い付け

  • ファスナでだけ留まっている内ポケットをつける

  • 袋物に構造が近く、不定形気味

  • ざっくり4枚接ぎっぽい構造

型紙引いたけど、こんなん出来るかよ……と思いつつも、縫製開始。
まずは「真っ直ぐ縫うだけ」4枚接ぎの各パーツに着手

ステッチングポニー、超便利。ちなみに針山も自作。

ファスナ、嫌い。

あくまでも「高さとして」はA4が入ることを前提に、留め具部分も想定して、40センチ長の革と5センチ長の革を5ミリの縫い代で縫い付け。
重なった革を貫通するようにファスナを付ける。

市販のファスナは40センチということで、手元のファスナから5センチ分の務歯を切り払い長さを調整して縫い付け。

きちんと貼ってから縫ったつもりだが、どうしても左右に少しズレる……

実は、今から20年近く前に元町の商店街で一目惚れして買った鞄が手元ある。当時の私には大枚だった3万円弱の鞄。
その後15年近く毎日のように使っていたらファスナの生地部分が破れてしまった。
これを直したい、というのがレザークラフトのきっかけということもあり、数多の鞄を作る前に直した経緯もあってファスナには少なからず因縁があると思っている。
が、今回。
例によって左右に少し歪んだ。
どのみち背に当たるところなので良しとする。

4枚、Done

ファスナを縫った際の糸のテンション似ばらつきがあるものの、まぁ、それは良しとして。
ストラップを留めるDカンを3箇所。裏面には力布的な当革。
3箇所にした理由は後ほど。
後ろに写ってるガレート型カテキンについてはそっとしておいてほしい。

縫うのは良いのだけど、目が疲れる……

後の失敗1

それっぽくなるようにタグとか付けてみたのだけど、Dカンをキワキワに付けたために、この後底を縫い付ける時に往生することに。
加えて、厚みがありすぎて針がうまく通らず、力んだ際に左の親指の付け根に「針の後ろ」が1センチほど刺さるなど。

先に穴開けといたら良かった。

ポケットつけて、底をつける

袋系の鞄が好きなのだけど、鍵だとか十徳だとかがすぐに出ないという欠点もあり、ポケットは必須。
20センチのファスナをつかってポケットを作ろうという事で、ヘタって着なくなったシャツをばらして茶色いポケットを作ろうと考えた。
が、いざシャツにハサミを入れようとするも、妻が私の田舎に行った折に買ってきてくれた1枚ということでどうしても切ることができず。
仕方がないので、これまた手元にあったターポリンシートを適当に切って、適当にミシンがけ。
シャツの場合と違って、折ったり縢ったりしなくて良いので却って正解。
その後、ファスナと貼り合わせて目打ち。縫い付け。

一段落したら、底になる1枚に5ミリと3ミリで線を引き目打ちして、縫い代に貼り付けて放置

このへんまでは、ま、順調

後の失敗2

「底の外周=4枚接ぎの幅から縫い代を引いた長さ」としてしまったことから、底の縫い代が考慮されておらず、2センチほど袋部の周囲が長い事が発覚。
加えて、荷重のかかるDカン部分をかなり厚くした上に端に付けてしまったので、2重に縫うのにかなり苦労することに。
「縫いづらい=力がいる」ことに関しては、恵まれた体格と道具でどうにか出来るものの限界があり、結果、鞄の背面については一部気に入らない仕上がりになってしまった。
ま、手縫いやし。プロちゃうし。
長さの調整はなんとも難しく、結局部分的に切って摘むことである程度解決。
だいたい、「演繹は出来るけど演算はできない」手合なので型紙時点で気が付かなんだ……。

なお、もうこのあたりから写真撮る余裕がなくなってる。

ストラップを作る

85センチ×4センチの革を2本切り出し、それぞれを長さ方向に2つに折って、ローラーを掛けてから重石を置いて一晩放置。
その後、両フチからそれぞれ3ミリで線を引き、目打ちのあとに輪になっている方を縫製。
開いている側に、これまた35センチに調整したオープンファスナ(上着とかにつかう2つに分離するファスナ)を仕込んで縫製。
85センチのストラップを途中でファスナで合体させるイメージで作成完了。それぞれ下から数センチのところで折って、ナスカンをセットしてカシメで留めて完了

袋にハトメをつける

袋の周囲は概ね80センチ。
10センチおきに25号の真鍮ハトメをセット。一気になんとなく製品っぽくなってきた。

留め具をつくる

25ミリ×30センチの革を2枚切り出して1本のベルトに。
続いて、40ミリ×12センチほどの革を切り出し2つ折りにして接着し、
乾いたら更に2つ折りにしてDカンをセット。
先に作ったベルトを重ねて目打ちしておき、力布的な革を用意して目を合わせて空ける。
それを、最初に付けた「左右に歪んだ」ファスナの上にセットして本体に縫い付けて、一体に。
その後、25ミリのベルトの一端に鉄砲ナスを、もう一端にはDカンをそれぞれセットしてカシメで留める。

革紐を通して封をする

最後に、袋の上部につけたハトメに革紐を通して両端をそれぞれ玉結び。
紐を締めて袋を閉じ、上から留め具で更に閉じて、鞄完成。

ようやくできた

ストラップに付いているファスナを完全に開くと2本に分離するので、ファスナ下のDカンから左右の小さい方のDカンにそれぞれ付け替えることでリュックとして両肩に背負うことも出来る、と、まぁ、オマケ機能つき、ということで。

構成する順番を考えよう

いつものことだが、

  • 縫いやすいところから縫う

  • 部分最適

が先行してしまい、仕上げる際に苦労する……
「局地的に正しい」の集合体としての何か、が、出来上がるあたり、ある意味ジャコメッティの彫刻みたいやな、と……

で、新たに鞄作ったけどもさ。
在宅仕事で外に出ない私はこれをいつ使うのだろう。

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