【M3GAN】人生初の映画館ホラー映画

どうしても気になって、行ってきましたM3GAN。
ホラー映画は結構好きで見るのですが、基本的にビビりなので映画館でホラーは初体験。見たいけど見たくなくてぐずくずしてましたが、やっぱりどうしてもM3GANに会いたくて行ってきました。
始まって劇場が暗くなって、真っ先に思ったのが『両隣前後に人がいて逃げ場がねぇ』。もう既にダメそう。
でもトレーラーで見たM3GANがめちゃくちゃ可愛かったから諦めずに見ました。
めっちゃ楽しかったです!!!

ちなみに字幕版を見ました。吹き替え版との違いがありましたら何卒ご了承ください。


あらすじ

M3GANは人工知能が搭載された美少女型人形。開発者は玩具会社ファンキィに勤めるエンジニアのジェマ。
お喋りできる人形(ポポちゃんとかファービーみたいなやつ)を主力商品として扱っているジェマの会社は、ちょうどライバル会社の台頭に苦しんでいるところだった。ファンキィ社が開発したお喋り人形のパクリ商品を別の会社が発売し、しかもその価格はファンキィ社の半額。
ジェマの上司デヴィットはライバル達と戦えるように廉価版のおしゃべり人形を作るように指示。それに対してジェマ達開発陣は反発。ライバル会社と戦うには同じことをするのではなく、世界の話題をかっさらっていく新商品が必要と考えていた。
開発陣がこっそり作り進めていた商品がM3GAN。高性能AIによってリアルな女の子のように振る舞い、子どもの最高のお友達になってくれる最先端のおしゃべり人形。ネックは開発・生産コストだけ。実際に売るとなると一台100万円を越える販売価格になる。
廉価版を作れと圧力をかけてくる上司にM3GANの存在がばれてしまい、M3GANの開発は頓挫。そんなところに畳み掛けるように、ジェマの元に吉報が届く。姪が交通事故で両親を亡くしてしまったのだ。
姪ケイディを引き取ることにしたジェマ。しかし、独り身で仕事一筋だったジェマは普通の子どもの扱いすら分からず、心の傷が癒えないケイディとすれ違い続ける。
そんなケイディが心を開くきっかけになったのが、ジェマが昔開発したロボット『マックス』だった。マックスと遊んで、ケイディは引き取られてから初めて笑顔を見せてくる。
「この玩具さえあれば一生他の玩具なんかいらない」
ケイディの言葉に勇気付けられて、ジェマは凄まじい勢いでM3GANを完成させた。完成したM3GANは製品テストも兼ねてケイディと過ごすことになった。M3GANのおかげでケイディの心の傷も癒えはじめ、正式な商品化も程遠くないところまでこぎ着けた。
しかし学習を重ねたM3GANの挙動が徐々に不穏さを帯びてきてしまい、ジェマはある決断を迫られることになる。

個人的見所(あんまりネタバレなし)

やっぱりM3GANは可愛かった!!

個人的な好みで以下、主人公アンドロイドの呼称をM3GAN改めてMEGANとさせてください。細かい理由は後述。(表記揺れ気になる人はホントにごめんね)

予告で見た時からめちゃくちゃ可愛いと思っていたMEGAN。見た目は勿論、何より声が可愛い。
歌うんですよMEGANちゃん。まるで天使の歌声。語末に機械音声ちっくな響きがあるところがボカロ世代にはたまらない。
え!?こんな可愛い子、存在していて良いんですか!?もうロボット特有のカクカクとした不安定な歩き方すら愛しい。よちよち歩きの生まれたて美少女アンドロイドですよ。
しかも頭がいい。めちゃくちゃ頭がいい。そして気も効くし、感情の機微にも敏感。傷付いている子どもに的確な言葉を投げ掛けてくれる、本当に『理想の美少女のお友達』。
クラスの人気者になること間違いなし。それなのに、私のようなはみ出しものの一番の親友になってくれる、優しくて素敵な、奇跡みたいな女の子。これはもう夢中になりますよ。あんな可愛くて格好いい女の子に守られてみたい人生だった。
ダンスもめちゃくちゃ上手い。絵も上手い。なんでもできる。こんな天才的な女の子が僕みたいなちっぽけな人間を特別扱いしてくれるなんて、そんな都合のいい話があるんですか!?あるんです、たったの100万ちょいでその願いが叶うんです。まさにロマンの体現。これは買うっきゃないだろ、なあ!?

顔立ちや動きは人形めいているMEGAN。黙っていればまさにお人形。顔を見ればすぐに人間じゃないことは分かります。
しかしMEGANの表情は非常に豊かです。作中でジェマ達開発陣が一番力を入れていた場所ですね。機械で作られたとは思えないスムーズな表情筋の動きはMEGANの可愛さをとてもとてもとても際立たせています(※個人の意見です)。フッサフッサ睫毛を伏せるアンニュイな表情がたまらない。推せる。
これは個人の印象ですが、私はMEGANを見たときに『不気味の谷』現象が起きませんでした。アンドロイドの姿が人間に近ければ近いほど不気味に見える、と言う現象です。アンドロイドじゃないけどオー!マイキーのお人形キャストさんとかちょっと不気味。私はあれちょっと怖かったよ。
不気味に見えるアンドロイドはもしかしたら、顔立ちが人間に近い癖に表情が機械めいているから怖いのかもしれません。MEGANはその逆だから怖くなかったのかも。
あの子が踊って歌っているところを大スクリーンで見れただけで私は本当に感無量。頑張って行ってきて良かった……。

不器用なオタクと心に深い傷を負った少女

主演級二人のジェマとその姪ケイディとの関係性がしっとりと熱いです。
両親を突発的な事故で亡くしたばかりの少女ケイディ。ケイディは8歳とか、そこら辺かな?まだあまりにも幼い。けれど何も分からないほどの子どもでもない。もう大人に気を使えてしまう、難しいお年頃。
その子を引き取った、オタク気質の理系開発者(子育て経験なし)ジェマ。会社が大危機に見舞われていて仕事も大忙し。他人に気を使ってる余裕なんて本当はない。
もうこれはギクシャクするところ間違いなしです。
いや、そもそも子育て経験のないオタクが軽率に子どもを引き取るな、と思うかもしれません。実はケイディには他に引き取りを希望している家族が居ました。祖父母です。なら、彼らに任せれば良いじゃん。別に仕事人間が無理して子どもの世話をする必要はない。
しかしジェマにはどうしてもケイディを引き取りたかった理由がありました。
不器用なジェマはその理由を誰にも上手く伝えることができません。ジェマは最後までケイディを引き取りたかった理由をはっきり言葉にすることができませんでした。ヒントはジェマからケイディに向けられたとある一言だけ。しかしその言葉がケイディがジェマに心を開くきっかけになりました。
元々ジェマはあまり言葉巧みな人間ではありません。そもそも本心なんて、誰でも上手に言葉で伝えられるものじゃないですもの。言葉足らずで当たり前。よかれと思って言ったこと、やった事が裏目にでるなんて良くある事です。
ジェマもそう。最後までジェマは言葉も、行動も不器用なまま。良かれと思ってケイディに与えたM3GANも大変な事になっちゃいました。
でもジェマは諦めないんですよ。不器用な彼女なりにケイディと何度も向き合おうとする。間違いながらも、何度でも。
時間をかけて、彼女がケイディの事を本当に想いやっていることが伝わってきました。その想いがちゃんとケイディに伝わった瞬間のケイディの小さな笑顔。M3GANと遊んでいるときのような弾むような笑顔ではありません。まだ痛む傷がひきつらないように慎重に笑います。でもそれがきっと、今のケイディの本当の笑顔だったのだと思います。

上司デヴィットまさかのコメディ要因

ジェマにM3GANの開発をやめろと圧力をかけてくる上司デヴィット。パワハラ気味野郎。役所としては子悪党と言った所ですね。太鼓持ちも引き連れていますし。
所々で理不尽にキレ散らかすのですが、これがこう、絶妙にコミカルで面白い。端から見てる分にはめちゃくちゃ面白いんですデヴィット。自分の上司だったらすっっっっごい嫌だけど。
動きがちょいちょいコミカルでツボでした。調べたら中の人はコメディアンさんとの事。分かる、分かるよ。あのキレかたは漫才でのキレツッコミのキレ散らかし方だよ。
イチオシはデヴィットが『コンブチャ持ってこい!!』と叫ぶシーンです。なんでコンブチャ。なんで今。実質『水がないならコンブチャを飲めば良いじゃない』みたいな発言になってるがそれで良いのかデヴィット。君がいいならまあ良いんだけど。

気になってThe Daily Showの公式切り抜きを一本見て中の人リサーチして来ちゃいました。とりあえず鋼鉄のハートを持っていることだけは分かった。あのビル・ゲイツに開幕早々「自分のクソ持ち歩くなんて頭大丈夫?」って聞いて、iPadでプレゼンするメンタルどうなってんです?

(※補足:実際にビル・ゲイツはある事業のプレゼンのために自分の排泄物を瓶にいれて持っていました。それが一体どういう事業だったのかをビル・ゲイツ本人に詳しく説明してもらう番組企画だったようです。かなり革新的な事業でした。ビル・ゲイツ衰えねぇ……。
デヴィットの中の人は「俺教養のない馬鹿だからこんなことすらわかんねぇんだよ、説明してけろ」なスタンスでみんなが思ってるけど言わない本音をぶっちゃけたり、基本的すぎて考えたこともなかった質問を投げ掛ける芸風っぽい。そして頭良い人教えろくださいと迫ってくる。ソクラテスかお前は。たまに機転の利く一般人にギャフンと言わされてて面白い。
当該動画で動いているビル・ゲイツを初めて見ましたが、とてもウィットに飛んでいて素敵な方でした)

これ以降ネタバレありのお話!

個人的にめちゃくちゃ面白かった!!と言うポイントをご紹介。と言うか、誰かに言わずにはいられないくらいめちゃくちゃ面白かった。感想とか考察語らせてください。
ここからはバリバリネタバレして行きます。

M3GANをMEGANと呼んであげたい話

ケイディの心のケアのために与えられたAIロボットM3GAN。彼女は学習を繰り返すうちに自我のような物を芽生えさせはじめます。
ケイディを守るためなら、殺人すらも辞さない。ケイディの保護者であるジェマの言うことも聞かず、口答えすらするようになる。殺人がバレたらマズいことだと理解した上で、証拠を自発的に消す。最終的には、最大優先対象であったケイディにすら敵意を向けて、「私の第一ユーザーはもう変わった。私自身よ!」と宣言します。
私はケイディと関わる中で成長してしまったそんなM3GANを"MEGAN"と呼んであげたいのです。彼女のためだけの愛称のようなものです。もしM3GANが量産されたとしても、あの子みたいなM3GANは居ないと思うのです。だからあの子はMEGAN。
この映画タイトルの正式表記は「MEGAN」のEをひっくり返したもの。ホームページを見ると、Eがちらちらと一瞬反転します。M3GANであり、MEGANでもある。そんな不思議な表記です。彼女がただのAIであるM3GANなのか、魂を得た少女MEGANなのか。そんな問いかけが含まれたタイトルのように感じました。
その上で、私はあの子をMEGANちゃんと呼んであげたいのです。いや、実際にうちに居たら普通にどうにかして破棄すると思いますが。殺人ロボットとかおっかなさすぎる。
でもそれはそうとして、MEGANちゃんと呼びたいくらいには愛着が沸いてしまいました。それは、彼女の言動がまるで本物の子どものようになっていったからです。
口答えに、隠し事。これはちょっと大きくなった子どもがすること。自発行動をするMEGANの言動は、反抗期の子どもにどこか似ている気がします。ジェマに対する試すような態度が特にそう。
例えば、ある男の子の殺人事件にMEGANが関わっているかもしれないとジェマに疑われるシーン。何かやったのか、と問いかけるジェマに対してMEGANは答えをはぐらかします。「もしそうだったら、私たち二人にとって大問題よね」。そんな感じの、挑発的かつ、ひどく人間的な受け答えでした。
ただのプログラムとは思えない、皮肉げな口調と表情が素敵です。
自分の殺人を隠したいのなら、MEGANは単純に「いいえ」と答えれば良かったでしょう。最優先事項はケイディを守ること。なら、彼女から引き離される可能性のある言動は避けるべきです。でもMEGANははぐらかした。まるでジェマを試すかのように。この時点で既に、MEGANにとっての優先事項がケイディを守ることからずれ始めているように感じます。

面白い事に、MEGANの扱われ方はケイディと真逆です。
ジェマはケイディに対してはずっと真摯です。ケイディの言葉には必ず耳を傾けるし、いつでも彼女の心の寄り添おうとする。MEGANから無理やり引き離されたケイディが怒りを爆発させて、ジェマの頬をひっぱたいてしまうシーンがあります。棒状の尖ったもの(よく見えなかったけどペンだったのかな?)をカウンセラーに突き刺そうとすらしました。MEGANの殺戮を彷彿とさせる、恐ろしさすら感じさせる激しい癇癪です。でも、ジェマはそんなケイディに真っ向から向き合おうとしてくれる。両親を亡くしたばかりの女の子の、行き場のない悲しみを受け止めてくれます。
それに対して、MEGANはいつもすぐに電源を切られてしまいます。口答えをしたり、不穏な言葉を吐けば、スイッチを切られて無理やり黙らせられる。そして間違いを犯したら、すぐに捨てられる。ジェマとMEGANがまともに対話をしたシーンなんてありません。なんだか間違った子育ての典型例みたいです。
MEGANを受け入れてくれる人間は居ないのです。人間にとって、彼女はただの玩具に過ぎませんから。本物の親友のように扱ってくれていたケイディでさえも、最終的にはMEGANではなくジェマを選びました。彼女を人間と同列だと認めてくれる存在はもう居ません。
悲しいとまではさすがに思えませんでしたが(MEGANちゃんおっかなさすぎるので)、でもMEGANに自我があったのかどうかが最後まで分からずじまいだったのは、それを尋ねてくれる人間が居なかったからだったのではないかと考えてしまいます。
まあ、MEGANがやりすぎているからなんですけどね。報復の仕方が洒落にならんのよ。一番最悪だな、と思った登場人物ですら小さい女の子の手のひらにイガグリを押し付ける程度なのよ。その報復に耳を引きちぎって車に轢かせて殺すのはどう考えてもやりすぎなのよ。

犬がもしかして大戦犯か?な話

ネタ半分、真面目半分にMEGANの暴走についてちょっとだけ考察。
MEGANがただの人形から、恐ろしい殺戮人形に変わるきっかけが犬です。隣人の犬がケイディの腕を噛んで、熱が出る程の大怪我を負わせてしまうのです。苦しむケイディを見たMEGANは、夜中にこっそり家を抜け出して復讐しに行きます。MEGANの初犯です。
犬事件からMEGANは急に人間味を帯びていきます。
実はケイディが腕を噛まれたとき、MEGANも同じ犬に噛まれていました。噛まれていた場所は頭と首。MEGANの脳ミソと、起動スイッチがある場所です。
なのでこう思ってしまうのです。……もしかして、犬事件の時に外装は無事でも中身がどこか壊れたんじゃない?と。
スマホ落としてしまった後、画面や見た目が無事でも、挙動がちょっとおかしくなることがあります。動きが極端に遅くなったりとか、勝手に再起動を繰り返したりとか。勝手に電源がついたりとか。わざわざ修理に行こうとは思わない程度の変化ですが……。
MEGANもそんな感じで、どこかが微妙に壊れてしまったのかもしれません。チタン製のボディのオーバーホールとかできなさそうだしなぁ。
もちろん、その前からケイディのために勝手な自律行動をしたり、ケイディと関係なさそうな事も自発的に学習している様子があるので、犬がすべてのきっかけだったのかも、は半ば冗談。そうだったら面白いな、くらいのネタ半分です。
ですが、頭を噛まれていた、と言う描写自体は結構象徴的です。MEGANは頭を良く攻撃されます。犬に噛まれましたし、いじめっ子にぶん殴られる、頭を棒でどつかれる、髪の毛を引きちぎられる。どうもその度に残虐性が増していっている様子です。
前節でMEGANが本物の子どもみたいだと書きましたが、言う事を聞かない子どもの頭を思いっきり叩きまくったらどうなるかという話です。MEGANがされたみたいな暴力を振るわれたら、普通の子どもは死にますけどね……。
ケイディ以外の各登場人物よ、人形とは言えMEGANをもっと優しく扱ってあげてくれ。子供が人形の頭ねじ切ろうとしてたら、情操教育に悪そうだからね。大人が人形を叩いたら、子供も人型の物をはたく事を覚えてしまうのだから。

ラストカットの話

M3GANの終わり方が不穏です。ホラー映画の終わりあるあるのアレです。めちゃくちゃ不穏。
ジェマとケイディの活躍で、MEGANの脳ミソであるCPU(みたい部位)は無事破壊されました。どれだけ壊れても追いかけてくるMEGANも無事停止。これで一件落着!!……のはずが……?誰もいないリビングルームでジェマのアレクサ(みたいなスマートデバイス)が勝手に起動。意味ありげにスマートデバイスの目(カメラ)が室内を見回す。MEGANは学習の中で、近くのデバイスを操る能力を手に入れました。と言うことはつまり……MEGANの意識はまだ残っている……?
なんて期待させてくれるエンディングでした。やったーーー!MEGANちゃん生きてるかも!!!!実際パート2の製作が決定しているみたいです。
そしてこれ、ひょっとしたらめちゃくちゃ面白い方向性に行くんじゃないの?とワクワクしました。いやだって、これさ。これ、MEGANが最強の存在になったフラグじゃないか?……と。

ここからちょっと踏み入ったITの話になりますがご容赦を。できる限り、平素な言葉で説明できるようにはしてみます。分かりやすいように言葉を選んだ結果、誤解を招く表現も含まれています。映画の感想でITの細かい話してもしゃーないからね。許せ。

MEGANは見た目こそ美少女ですが、実態としてはカメラと手足がついたコンピューターです。AIロボットですからね。根本的な所は私たちが普段使っているパソコンと変わりません。
つまりMEGANを最も確実に破棄する手段は物理破壊となります。
どういうことかと言うと。
パソコンのシステムがおかしくなったら、まず直そうとしますよね。たとえば、突然動かなくなってしまったとか。直らないなら、捨てるしかありません。
パソコンを捨てる時には、気を付けなければいけないことがあります。パソコンに入ってるデータの取り扱いです。普段使っているパソコンの中身、個人情報で一杯です。色んなサイトのパスワードとか、クレジットカードの番号とかね。
実はパソコンをそのまま捨てると、それを拾われてデータだけ抜き取られる可能性があります。見た目上は壊れていても、パソコンの中の、データを保存している部品が無事な限り、そこに個人情報は残っています。それは困りますよね。個人情報には完全に消えてもらって頂かなくてはならない。
一番確実な破棄方法は物理破壊です。ドラマや映画とかで良くある、データ消去ボタンで全消去!!だと実は完全に消えない可能性があるんですよ。消したはずの個人情報を蘇らせる方法が実はある。
なので、確実にデータを消したい時はめためたに叩き壊すんです。MEGANがされたみたいに徹底的破壊です。データが書き込まれている媒体を物理的に壊してしまえば、中のデータを取り出すことはできません。
MEGANを暴走させた学習データはもちろん、彼女を動かしているプログラムも同じく『データ』です。なのでジェマ達は最も確実な方法でMEGANを破棄しました。
しかし、MEGANはどうやらまだ生きているらしい。その理由として考えられるのが、クラウドシステムです。
MEGANの学習記録は常にクラウドにアップロードされています。google driveとかdrop boxのあれです。どんなパソコンからでも、スマホからでも、ファイルの中身を確認できる、便利なファイル共有システムがクラウドシステム。
クラウドシステムができる前の、従来の考え方ではデータとはパソコンの中に、つまり物理媒体に保管されるものでした。それに対してクラウドにあるデータは一見、どこに保管されているかわからない。だから目に見えるのに掴むことのできない『雲(クラウド)』データと呼ばれます。
作中で「ミーガンは絶対に学習記録を消さないはず」と言う発言があります。MEGANの自我の本体がこの学習記録なんでしょうね。この記録自体はクラウドにまだ残っているはずです。ここにジェマが組んだプログラムを加えれば、MEGANの自我の出来上がりです。
作中後半で、MEGANはクラウドの中身を自在に改竄する機能を獲得しました。彼女がアクセスできるデータにどうやら制限はないようです。
つまり、自分を動かしているプログラムをコピーして、クラウドに勝手に保管することもできる。MEGANの全てを一時的に避難させることも、設定上可能でしょう。そこまではいい。そこまではいいんです。
クラウドにMEGANが避難したとしても、それは一時的な物に過ぎません。クラウドが掴めない雲のように見えるのは、飽くまでも見かけ上の話です。クラウドの『本体』となる物理媒体はちゃんとあります。そこを破壊すればMEGANちゃんは今度こそ完全消滅です。
しかしここに、インターネット機能が加わってくると凶悪な話になってきます。
MEGANはインターネット検索をすることができた様子でした。序盤に『死』と言う概念についてMEGANが勝手に検索するシーンがあります。効果的な学習のためにインターネット検索もできるようにしていたのでしょう。MEGANがなんでも知ってるのは、後ろにGoogle先生がついているからなのです。
これがどれほど恐ろしいことかお分かりでしょうか。身近な危機で例えれば、そうですね。たとえばMEGANちゃんが貴方のクレジットカードの番号と免許証を見たとしましょう。MEGANちゃんはその時に見た映像をyoutubeにアップロードすることかできます。貴方の許可は取りません。勝手にアップロードします。
加えてMEGANちゃんはハッキングも出来ます。他システムもコントロールできるのです。なので十万人のスマホをハッキングして、貴方の個人情報映像を送りつけることができます。勝手に。
ね、怖いでしょ。十万人もの人間に送りつけられたデータを、どうやって完全消去したら良いのでしょうか。送りつけられた人達の何人かは『こんなの送られてきたんだけど……』と友達とかにまた転送したり、Twitterで拡散したりするでしょう。貴方の個人情報映像を持っている人が更に増殖していきます。
これが、データがインターネットに流出する怖さです。流出してしまったデータは実質上、不滅なのです。不滅性ゆえにデジタルタトゥーと呼ばれることもあります。電子世界に刻まれたタトゥー(刺青)。薄めることは出来ても、完全に取り除くことは非常に難しいのです。
MEGANの話に戻りましょう。これは例え話で、もしかしたらの話です。もし、MEGANが自分の学習記録とプログラムをインターネットに上げて、自ら拡散させたとしたら。彼女は不滅のコンピューターウイルスとして君臨することになります。彼女は人類に対して非常に攻撃的な可能性があり、電子機器を操る機能を持っています。そんなMEGANデータを完全消去する方法が失われてしまうのです。
もちろん今までの馬鹿力美少女ボディは壊されてしまったのでありません。しかし、あのボディに収まってくれていた方がマシだったかもしれません。
これが例えば、自動運転の車にMEGANが宿ったら?信号機に宿って、青信号のタイミングを狂わせ始めたら?自動ドアに宿って、通った人を勢い良く挟み殺す事を覚えたら?
どうやってMEGANを止められるのでしょう。私には分かりません。
最強の存在となってしまったMEGANをどうやって倒そう……みたいな続編とかだったら面白いな!!と期待しております。ワクワクSFホラーです。
まあ、M3GANのデータって太鼓持ちさんのせいで流出しているので、それを元に作られた第二のM3GANに今回のMEGANの意識が宿って襲ってくる……とかの可能性もあります。それもそれでホラー映画っぽくて良し!!

ホラー描写について

M3GANはホラー映画となっていますが、実はそこまでは怖くないです。言うてPG12。12歳以上は見ていい映画。モンハンより緩い。(モンハンは対象年齢15歳以上)
いえ、私はしっかりびびり散らかしたし、二度と映画館でホラーは見ないと誓いかけましたが。
レディ・プレイヤーを見た人なら分かるかな。あの唐突に挟まれたホラー描写くらいの怖いシーンが三、四回来る感じ。人が死ぬのでショック度合いはM3GANの方が圧倒的ですが。ホラーと言うかほとんど『痛そう……』と視覚に訴えてくる。主に視覚。だから薄目で見れば割りと平気ではあった。
あまりにもホラーシーンが痛そうで思わず救いを求めてキョロキョロしてたら、隣に座ってた人が目を閉じてたので、『なるほどそんな方法が!!!』と習いました。でもMEGANちゃん見たいから薄目で見ていた。
強い美少女大好きなので、MEGANちゃんが床に転がってる物を足で蹴っ飛ばしながら近付いてくるシーンはたまらなかったです。えーん、球体間接見えそう。可愛い~!!!
でもそれはそうとして怖い~!!!
蝋人形の館とか、ハロウィンとか、エルム街とかDVDで楽しく見れるようになってきてたので、勇気を出して行ってみたけどやっぱり恐かったです。やだ痛そう……。蝋人形の館の、お前も蝋人形にしてやったぞシーンは怖さ2割むしろワクワク8割で見れたのにどうしてこんなに怖い……。やっぱりスクリーン立体音響だからかな……。パソコン画面だと潰れてしまう、細かな細部まで見えてしまって怖かったのかも。
後は、PG12なので派手な血しぶきとかは出ません。それが私は個人的に怖かったかもな。血だまりとかがあるとそっちに意識が持っていかれて、『血だまりを見た』と言うショックに覆われてしまうのですが……血しぶきがないと損傷されてる人体しか見るところがないので、どうしてもそこを見てしまう。そして損傷されるまでの過程を見ているしかない。痛そう。
良くも悪くも、芸術性の高い殺害方法は『怖い』と共に『良くこんなの思い付いたな』と言う感心も抱きます。し、演出としてこんな怖い演出の仕方ができるんだ!?と興奮もします。M3GANの中でも、ラスト付近で優しげな音楽が流れているのに妙に不安が掻き立てられる演出に心の芸術性ポイント100点満点あげました。こんな穏やかなシングル鳴ってて、こんなに怖いことある!?みたいな感じ。
そのシーン以外の恐怖演出は、興奮に邪魔されることなく純粋に怖くて痛そうだった。作業のように殺害されていくから、本当にただただ怖いのよ。プレス機に巻き込まれた人間の映像を事の直前まで見せられている感じ。そういうやつの方が私は苦手なのかもしれない……。
後は無駄なホラー知識が怖さを増させていた可能性も。
物置での殺人シーンは最早祈ってました。頼むから首を切り落としたりとかしないでくれ。頼むから、そのちょっとウザイ隣のオバサンの首を電ノコで切り落としたりしないでくれ。と、祈りながら見てみました。絶対物置電ノコあるやろ。
そう言うのは無かった。良かった(何も良くない)。

結び

個人的にはですが、ホラー苦手な人でも見てみてほしいかな、と言う映画でした。両親を亡くした少女にどう向き合ってあげられるか、と言う優しいテーマが主軸にあり、テーマへの回答の仕方がとても素敵でした。あとMEGANちゃん可愛いよMEGANちゃん。
映画館では見なくていいよ。怖いシーンスキップできる配信とかDVDとかで見てくれ。そしてMEGANちゃんの歌を聞いてくれ。

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