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トイレの構想

新しく社屋を建設し、オフィスを作りあげるなかで、トイレの構想検討をした時の内容です。

トイレをはじめから考えて作り込んだ経験はなく、構想といっても法律で決まっている人員当たりの最低設置個数程度しか、頭に思い浮かびませんでした。

新棟建設プロジェクトの設計チームから新たに作るトイレ設計のために仕様を決めたいと話が出て、男性社員と女性社員の代表者にお願いをして、一緒にショールームの見学をしてもらうことにしました。

ショールーム見学の前に知ったことですが、女子トイレには小物入れがあって、歯ブラシやコップなども置ける場所として、できれば一人ひとつずつあると良いとのことでした。

その程度の知識でショールームに行って驚いたのは、グレードや種類の多さです。

デザインや色の豊富さもさることながら、VIP用や子供用、清掃のやりやすい形状や汚れにくい材質など、その多彩なラインナップは、何をどう選べば良いのかわからないほどでした。

利用者のニーズや細かな配慮を考えると、高さ、奥行き、左右の勝手だけでも組み合わせは多くなります。特に、バリアフリー多機能トイレの工夫は素晴らしいものがありました。

多機能トイレの設置に基準はないので、会社の中にどの機能をいくつ設置するかは大変悩みます。

お客様スペースやパブリックスペースに設置するとして、それ以外の各フロアに一箇所ずつ設置できるのは理想ですが、コストとの兼ね合いもあります。

結局、人事情報をもとに設置する場所を限定して絞り込みを行い、基準階を設定して配置することになりましたが、オストメイトの利用者については調べきれるものではなく、さらなる悩みどころになりました。

さて、見学後のアンケートでは、男性社員からはパソコンを置く台やスペースと歯磨きコーナーの要望があがりました。

せっかく新しく作るトイレになるので台は置かずに、小便器上部と洗面台鏡の下にそれぞれ少し広いパソコンを置くスペースを設けることになりました。

次に女子トイレですが、個室内のフィッティングボードは不要とのアンケート回答で、会社にはロッカーもあるので利用価値も低く、不衛生になりやすいとのことから採用はしませんでした。

男女共に歯磨き専用洗面と、女子専用に小物入れは仕様に盛り込みましたが、女性からもう一つ要望があったのは鏡の距離で、なるべく近くにして欲しいというものでした。

男子トイレ要望のパソコンのスペースを考慮すると鏡は遠くなり、洗面台の水跳ねを考慮すると洗面台の奥行きは小さくできず、身長の低い女性のことを考えると、さらに鏡は遠ざかっていきます。

結果としては、設計チームの検討でパソコンスペースを確保しながら鏡だけを手前に出っ張らせて、鏡の裏に間接照明を入れというものを採用し、非常に手元の明るい洗面台になりました。

その後、運用の中で別の女性社員から、「鏡が近すぎるのと明るすぎる(顔のシ○が目立つ)」との意見が出て、照明の管を一部外した経緯はあります。

トイレなどの水回りの構造はあとから変更すると大きなコストもかかります。事前に構想検討ができたことは大変良かったと思います。

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