陰翳礼讃 / 谷崎潤一郎

建築をやる者、デザインをやる者、照明をやる者…みながこの本を読まなければならないと言われている谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」です。

日本独自が持つ「闇」について書かれたもので、日本古来から伝わる光、化粧、間、あらゆるものが闇を基本として成り立っていると。
それが「侘び寂」へと続いていく。

確かに建築をやる者として重要な事は色々書いてあります。
しかし本当に重要なのはその背後全体に流れる空気をいかに捕らえられるかだと思います。

批判を覚悟で言えば、書いてある内容はそれ程特別ではなく、歴史小説などでも同じ表現はたくさんあります。
この陰翳礼讃は短編の一つなのですが、他の短編も一緒に読むと、単に識者が思いついたことを言っているに過ぎません。
池波正太郎、司馬遼太郎、五木 寛之といった人たちのエッセイとなんら変わりはありません。

個人的には元々自分に有った考え方(闇を好む、光よりも影を重要視する、ゆっくり旅行するなど)を述べられていたのであまり新しい発見は無かったです。

建築を学んでいくと必ず陰翳礼讃には突き当たりますので、そういった意味では読んでおく必要があると思います。
(元投稿:2009.12.2)

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