限りなく透明に近いブルー

最近は作家というより良く判らないポジションにいる村上龍のデビュー作。
元々は同じ性の村上春樹から入り、同時代に注目を浴びた村上龍の作品に興味を持ち、読むならデビュー作からと思い、タイトルの美しさにも惹かれて手に取った本。

内容はタイトルとは裏腹に麻薬・セックスにおぼれ、日々の目標を探す若者の日々を描いたもの。これをヒッピー文化を描いた物とか、繊細な文章で表現しているとか、若者の葛藤を描いているとか評価されている部分もありますが、個人的にはそれらは現在の若者を同じ様に表現したらどう評価されるのか?
新しい文化は古い文化の上に成り立ちますが、ここに書かれている若者は「今の若いやつらは」といつの時代も言われている若者です。

題材としては著者の若い頃の実体験を基にした物語らしいですが、どこまでが実体験で創作なのかはわかりません。ただ、それをどう捉えるかは自由ですし、自分としては良いと思います。ある意味失敗を取り戻せる事を表現していますから。

個人的には全てを読んで得た物は有るかと聞かれると疑問です。書かれている出来事を読み理解して情景を頭に描いて、その時の各登場人物の心の葛藤は一応は理解できたと思います。しかしその先の「何か」が見つけられなかったのは確かです。
たまたまテーマが自分と合わなかったのもありますが、正直言うと読んだ後に空虚が残る作品でした。文章の上手さなどは十分判るのですが「何故それを書く?」と言う疑問がずっと残りました。

村上龍と言う作家をこの一作品、特にデビュー作で判断してはいけないとは理解しています。今は次に何を読もうか迷っている状態なのですが、最近のは変に色々な方向に傾いてしまった気がするので、どれを読んで良いのか判りません。もしお勧めが有ったら教えてください。
(初投稿2020.7.9)

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