錯乱のニューヨーク

現在世界的な建築家の一人である、レム・コールハースの最初の著書で、磯崎新をして「この書をよまずして、現代建築を語るなかれ」と言わしめた一冊。

タイトル通りニューヨーク、それもマンハッタンに限り物語は続いていき、短い文章の集合体として全体を構成している。
それらは複雑に絡み合い、次々と定義される言葉は最後まで物語の奥深くで意味を持っている。

マンハッタンのみを舞台にしているが、主題はマンハッタンの歴史・建築像はもちろんの事、現代建築の持つ脆さや意味、自身のアメリカへの考え方など多岐に渡る。

物語は自身を「マンハッタンのゴーストライター」と定義して淡々と語られているが、読んでいくにつれて物語なのか、研究論文なのかフィクションなのか実史なのかわからなくなっていく。

もちろんこの本を理解するためには、一定以上の基礎知識は必要になる。
今回自分は半分理解したかだと思う。
500ページを超える文章は読み応えの有る量だが、読み終わった後にくる感覚は無に近い。
それは一番は自分の処理能力を超える文章だったからだと思うが、マンハッタンが無で有ることも影響していると思う。

ボリュームが有るので気軽に何度でも読める本ではないが、完全に理解するには何度となく読む必要が自分には有る。
ただ著者はハリウッドで脚本を書いていた経験もあり、全体的に文章は読みやすい。

磯崎氏の語るとおり、建築をする上では必読の書だといえる。
(元投稿:2009.12.18)

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