ほんとうの環境問題

養老孟司氏と池田清彦氏による環境問題に対する本。それぞれが1章を受け持ち、最終章で対談してまとめられている。
取り上げられている事は、地球温暖化や京都議定書・ゴミ袋問題・ペットボトル問題・エネルギー問題など色々。

内容としてはそれぞれの問題について改善策を考えるというより、それに対する考え方、それも色々なことを含めた大きな視点からの考え方を述べています。

CO2排出量などでも日本がいくら頑張っても、その頑張りを比べにならない位に無駄にする勢いで中国などが排出している。また、国の産業や経済状況などを考え削減量(京都議定書)に応じない国がいる。そういった国に対して働きかけもしないで、小さな自己満足だけで頑張っていても意味が無いのではないか。またそれによる経済効果も疑問が出る。もちろん環境に対して配慮し行動を起こすことは大事だが、それだけに注目して全体を考えないのはいけないのではないのか。市民団体レベルではそれでも良いのだが、日本という国家としては全体的に考えて方向性を示さなければならないのではないか。
などと言った内容が書かれている。

やはりここでも日本の外交力の無さが問題になっている。
地球全体を考えるならば日本の努力も必要だが、比較にならないほど排出している国の状況を変える事の方が先決だろう。

どのような問題も全体から考えて「本当にそれが早急に重要か?」という視点で書かれている。また、基本的に環境問題というのは人間の都合の問題だと言うことも分かる。過去にも平均気温が現在温暖化で上昇すると言われている気温を超えた時も有ったが、実際には地球は残っている。生物も残っている。

ある意味屁理屈で環境問題から他の問題へ視点をそらさせているのだけど、現在ではその他の問題も重要であるしそういった考え方も必要。目の前の一つの問題だけで考えるのではなくて、全体を見て考えようというのが一番の主旨だと思う。

話しの土台となるデータもそれ程難しくなく、信頼の出来るものだから違和感が無く読む事が出来る。著者の2人は理系と言うことなのでそのデータを上手く活用している。

環境問題そのものに対しての本ではないが、環境問題を考える上では読んでおいて無駄ではない本だと思う。
(初投稿2010.5.28)

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