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WKW4K公開記念~『恋する惑星』前夜まで~

WKW4K ウォン・カーウァイ4K 5作品が8/19(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開中。
劇場には、日本劇場初公開当時に鑑賞したという方のみならず、若い世代も多く来場。かつての熱気や空気感を懐かしむ声も多く、最初の《ウォン・カーウァイ旋風》がどのようなものであったのか今ふたたび振り返るべく、かつての関係者に思い出を振り返ってもらった。

公開当時のパンフレット

当時、プレノンアッシュとともに『恋する惑星』にかかわった某別会社の当時のスタッフはこう語る。

『欲望の翼』が良かったので、新作ができると聞いた時にぜひ権利は押さえたいと思った。
但し、どんな内容かは誰も知らず、会社を通すために資料を求めたところ、監督から送られてきたのは、詩のような一篇がしたためられた紙切れ一枚だった。
当時は鷹揚な時代だったので、それでも会社のOKが出た。
ある夜、粗編集された素材が届いたのですぐに見た。字幕が無いうえに、途中でいきなり別キャスト、別の話が始まったので、これはダビングミスでは?と周りの関係者に確認してしまった。
字幕無しで見た最初の印象で脳裏に残っているのは、とにかく”話が破綻している”という事と、トニー・レオンの白ブリーフのみ。
会社には完成の報告を取り急ぎしたたものの、これは始末書ものだと思った。字幕が付いてようやく話が分かり、何度か観るうちにやっと面白さが分かってきた。
『恋する惑星』という邦題が付けられるまで、スタッフたちは随分悩み、部屋中に単語リストが散らばっていた記憶がある。
当時の香港映画としては異例の雑誌露出が決まりだして、もしかしてこれは当たるかもと。
1995年7月15日、銀座テアトル西友で若者たちの満席でスタートを切った。

当時も今回と同様、感度の高い層で客席が溢れていたという
新たな香港映画のイメージを作ったウォン・カーウァイ監督

今回、上映中の『恋する惑星 4K』では、編集も一部新しくなっており、また異なる印象を覚える部分も。
初めて出会った頃から、そして今も、なお新鮮で鮮烈な存在感であり続けるそのめくるめく世界観に、劇場で出会い直してみては。


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